つれづれコラム 宿泊予約

ホテル旅館のキャンセル料の仕組み。台風や大雪の場合はどうなるのか?

投稿日:

ホテルや旅館のキャンセル料については、その存在は知っていても良く分からない方も多いかと思います。巨大台風などの異常気象や不慮の事故、または親族に不幸があったなど、不可抗力によるキャンセルでもキャンセル料は発生するのでしょうか?今回はホテル旅館のキャンセル料の仕組みから、もしキャンセルせざるをえなくなった場合の対応方法まで、順を追ってお教えします。

ホテル旅館のキャンセル料とは

まずは宿泊施設のキャンセル料について理解しましょう。少し難しい話になりますが、そもそも「宿泊予約」とは宿泊施設と利用客の間で結ばれる「契約」であり、その内容は宿泊施設毎に定められた「宿泊約款」に記されています。宿泊予約とは、対価を支払って特定の日に宿泊することができる権利を得る行為であって、利用客は宿泊施設に対しその契約を申し込み、 宿泊施設がこの申し込みを承諾することで契約成立となります。この契約は、直接電話で申し込んでも宿泊予約サイトで予約しても同じく適用されます。(旅行会社で予約した場合は、利用客は旅行会社と旅行業契約を結びます。)

キャンセル料はその宿泊約款に記された「宿泊客の責任-違約金」として必ず記載がありますので、利用客は宿泊予約をした時点でキャンセル料を支払う義務が発生することになります。またキャンセル料やキャンセルポリシーは、同じ宿泊施設の予約であっても、楽天トラベルやじゃらんnetなどの宿泊予約サイトによって異なっている場合もありますし、プラン毎に異なっているケースまでありますので必ず事前に確認しておくことをおすすめします。

宿泊約款:違約金記載例
楽天トラベル:キャンセルポリシー記載例

キャンセル料は何の為にあるのか?

では、ホテル旅館は何故キャンセル料を設けているのでしょうか。次はその理由について考えて見ましょう。宿泊約款の内容はホテル旅館によって様々ですが、宿泊施設がキャンセル料を定めている理由は、大きく分けて2つあります。

  1. 販売機会の損失に対する補償
  2. すでに発生した原価の補償

利用客が宿泊予約をした時点で、ホテル旅館はそのお客様が宿泊する客室をおさえます。そして、利用日までその客室の販売を止める形となりますので、仮にその他の方から該当客室を利用したいと申し出があっても予約を受ける事が出来ずお断りすることになります。キャンセル料とは「その予約が無ければ販売する事が可能だった」という前提に基づき、その補償として設定されているのです。その為、利用日に近くなればなるほど、販売機会の損失期間が長かった事になりますし、再販出来る可能性も減少してしまう為、キャンセル料は高くなるのです。

次は原価の補償になります。宿泊施設はその予約内容に応じて事前準備を進めていますので、キャンセルが発生した時点ですでに仕入れが発生している物も当然存在します。その補償としてもキャンセル料は使用されます。食事が伴う予約の場合、特に鮮魚や生鮮食品など保存が効かないものを扱っている場合は、その食材を破棄せざるをえない為、補償目的としてキャンセル料が設定されています。ですので、1泊2食付が主体の温泉旅館の方が、ビジネスホテルなどと比較するとキャンセルポリシーが厳しくなっているケースが多いのです。

現在のキャンセル事情

昨今はインターネット予約の増加に伴い、キャンセル数も増加しています。以前はキャンセルを行なう時は電話などで直接宿に連絡をして「人」にその旨を伝えなければなりませんでした。しかし、インターネットではクリックだけで簡単にキャンセルが出来てしまいますし、罪悪感も少ない為、キャンセルが増えているのです。予約が簡単になった分、キャンセルも簡単になっているのです。

キャンセルの理由は「予定が変更になってしまった」「都合が悪くなってしまった」など人それぞれですが、悪質なキャンセルが増えているのも現実です。同じ日に複数のホテル旅館を予約したり、同一の旅館に複数日予約を入れたり、自身の都合だけで宿泊施設や周りの方の迷惑を考えない人も増えています。しかも、そういった方に限ってキャンセルポリーを細かくチェックし、キャンセル料が発生するギリギリのタイミングで一気にキャンセルをされるのです。契約上は全く問題ないのですが倫理観が疑われます。

また、外国人旅行客の増加に伴いキャンセルも増えています。ホテル旅館側の一般的な認識では「外国人はキャンセルにルーズで、どうせキャンセル料を請求されないと思っているから平気でキャンセルする」という考えが主流ですが、私はそうは思いません。私は予約サイトのUI(ユーザーインターフェイス)や操作性に問題があると考えています。楽天トラベルやじゃらんnetなど日本の宿泊予約サイトはとても親切な作りになっていますが、海外の宿泊予約サイトはとても分かり難い作りになっていると感じています。中には予約が成立しているかどうかも分からないような物も少なくありません。つまり、予約をしたと本人が気づかずノーショー(無連絡キャンセル)となっているケースも少なくないと考えています。

様々な理由により、ホテル旅館でのキャンセル件数は増加しているのです。

参考記事:【仮予約はNG】絶対にやってはいけないホテル旅館の予約方法を徹底解説

キャンセル料は払わなければいけないのか?

正解はYESです。先にもご説明した通り宿泊予約は契約なのです。契約している以上、どんな理由であったとしてもキャンセル料の支払い義務があります。仮に支払いを拒否したとしても、ホテル旅館側が訴訟を起こせば民事訴訟となり法廷で争う形となります。また、実際に裁判が行なわれた場合でも、支払わないということ自体が契約の不履行にあたりますので、ホテル旅館側が極めて有利になります。

しかし、長年宿泊業界にいる私でもキャンセル料の支払いで訴訟を起こしたと言う話は聞いたことがありませんし、裁判にはかなりの手間がかかりますので、数万円程度の金額に対して訴訟を起こすという事は賢明な判断ではないのかも知れません。

だからと言ってキャンセル料を踏み倒して良いというわけではありませんし、人としての在り方が問われます。また、悲しい現実ではありますが、そういった心無い方が増加している為、事前カード決済を必須にしたり前受け金(デポジット)を求めるホテル旅館も増えてきています。先の通り、さまざまな要因からキャンセル数も増加傾向ですので、ホテル旅館は売上や利益を確保する為にキャンセルポリーを厳しくすると同時に、予約時点で回収を確実なものにする為の動きを強めているのです。一部の心無い方の為に、宿泊予約も簡単に出来ない不便な世の中になりつつあるのです。

台風や大雪などの自然災害、親族の不幸など、不可抗力でのキャンセルは免責されるケースもある

キャンセルの理由はさまざまですが、台風や大雪、親族の不幸、または公共交通機関の乱れなど、お客様の責任ではどうにもならない事態でキャンセルをせざるをえないケースも多く存在します。では、その場合キャンセル料はどうなるのでしょうか。

基本的な考え方としては、宿泊予約は契約ですのでキャンセル料の支払い義務は存在します。しかし、日本のホテル旅館では決してその限りではなく、柔軟な対応をされる宿泊施設も少なくありません。仮にインターネットから予約をしていたとしても、直接電話をして内容を説明することでキャンセル料をいただかないと言ってくれるホテル旅館も多いのです。事実、私の経営する温泉旅館でも悪質なキャンセル以外は、キャンセル料はいただいていません。自身の旅館に宿泊されることを楽しみにしてくれていた方が、本人がどうしようも無い理由でキャンセルしなければならなくなったのです。残念な思いをされている方に「キャンセル料をいただきます」とは、なかなか言えません。また先の通り心無い方が増えている現代ですので、きちんと誠意を持ってお電話いただけることを逆に喜びだと感じますので「またご機会があったらご利用をご検討ください」とお伝えさせていただいています。そういった方の多くが後日「あの時キャンセルしてご迷惑をおかけしました」と改めて宿泊していただいています。

契約も大切ですが、もっと大切なのは利用客と宿泊施設の信頼関係なのです。キャンセル料が発生するタイミングでキャンセルをしなければならなくなった場合は、素直に誠意をもってその理由を電話でお伝えすることをおすすめします。必ずそうとは限りませんが「キャンセル料は結構です」と言っていただけるケースも少なくないはずです。

「事前決済」「オンラインカード決済」をしていた場合のキャンセル料はどうなるのか?

宿泊予約サイトで予約時にカード決済をした場合についてお伝えします。楽天トラベルやじゃらんnetでは、予約時にクレジットカードで支払いを済ませてしまうことが可能です。その場合、宿泊代はすでに支払っていますのでキャンセルになった場合は「キャンセル料を差し引いた金額」が返金されます。

これは厳密に言うと、利用客が使用したカード会社の締め日によって2つのケースがあり、1つは先の通り、キャンセル料を差し引いた金額が返金になる場合。もう1つは、クレジットカードの締め日前にキャンセルをした場合で、この場合はキャンセル料がそのまま引き落とされます。

ここで重要なポイントが1つあります。それは、上記の何れの場合もホテル旅館側がキャンセル料の支払いを免除することが出来るという事です。楽天トラベルでもじゃらんnetでも同様で、宿泊施設は管理画面から「キャンセル料を0円にする」ことがシステム上可能なのです。つまり、インターネットでそのままキャンセルをすると、キャンセルポリシーに準じたキャンセル料が自動で発生しますが、直接宿にキャンセル連絡をすることで、キャンセル料はその限りではないと言うことです。

まとめ

  • 宿泊予約をした時点でキャンセル料の支払い義務が発生する
  • キャンセル料は宿泊施設への補償
  • キャンセル料は必ず支払うべき
  • 不可抗力でのキャンセルは免責されるケースもある

今回はホテル旅館のキャンセル料とは何なのかをご説明しましたが、どんな時代になったとしても一番大切であり守るべきは契約ではなく「利用客と宿泊施設の信頼関係」だと私は考えてますし、同様の考えをもった業界関係者も沢山いらっしゃいます。キャンセルをしなくてはならなくなった場合、まずはお宿に直接連絡を入れて正直にその理由をお伝えすることを強くおすすめします。また、台風などキャンセルになってしまう可能性が事前に分かるような場合は、その段階でお宿に相談をしてみるのも良いでしょう。

近年はキャンセル料の請求が怖くて予約が出来ないという方も多いと聞いたこともありますが、もしそのような事態が起ったとしても誠意をもった対応をすれば、お宿から無下にされることは少ないのではないでしょうか。また、そういうお客様が増えることで柔軟な対応をしてくれるホテル旅館も増えてくるでしょう。

-つれづれコラム, 宿泊予約
-, ,

Copyright© お得で賢いホテル旅館の選び方 と お客様に選ばれるお宿の作り方 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.