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部屋食は感染リスクが高い!?ウィズコロナ時代の正しい旅館の選び方

温泉旅館を選ぶ際に他の宿泊客との接触が少ない「部屋食」の需要が高まっています。しかし、旅館のサービス提供の内情を知ると、むしろ「部屋食」は感染リスクが高い事が分かります。この記事では、部屋食のリスクを説明すると同時に、どのような点に注目して宿選びをする事でウイルス感染のリスクを減らす事が出来るかとお伝えします。

部屋食の実態

部屋食の感染リスク

多くの皆さんが、他の利用者と食事中に合う事がない「部屋食」と言う食事形態を感染リスクが低いと認識されています。その根拠となっているイメージを図式化してみました。

一般的な部屋食のイメージ図

このように客室へ係の方が食事を運んでくれますので、他の利用者に合う事はあり得ません。しかし、旅館は営利団体で利益を求めますので、出来るだけ少ないスタッフで多くのお客様の対応をしようとしています。つまり、見えないだけで実際は下記のイメージのようになっているのです。

実際の部屋食のイメージ図

このように1人のスタッフが複数の部屋の食事提供を掛け持ちしているのです。つまり、1人のスタッフが、複数の閉鎖された個室(密室)を何度も行き来しながら食事を提供しているのです。当然お客様はマスクを付けず会話を楽しみながら食事をしていますので、密室となっている空間に飛沫が舞い、テーブル等に唾液などがついている事も十分想定されます。そして、それぞれの客室での給仕中にスタッフの手指にウイルスが付着する可能性があります。

付着の可能性はどこにでもありますので、そこを取り上げて悪い事だと言うわけではありません。問題は、飲み物の追加オーダーや料理出しを時間に追われながら慌ただしく行いますので、作業毎の手洗いやアルコール消毒の徹底が難しくなるというところにあります。と言うより、実態を理解している筆者の率直な見解としては部屋食給仕中の消毒の徹底は不可能だと思います。他の部屋で手指にウイルスが付着し手洗いや消毒が行えないまま、料理と共に別の部屋にウイルスが持ち込まれる可能性が高いのです。

作業効率を上げる為に1つの台車やラックに複数の部屋の料理を乗せて運びますし、そこへ食事が済んで下げてきた器なども乗せていきます。また、各部屋の入口にはドアノブもありますし、調理場から料理を運んでくる際にエレベータを使う場合はボタンを押す必要もあります。このような状態で限られた時間内に受け持ったすべてのお部屋に食事や飲み物を提供しながら、衛生管理を徹底することのハードルは想像以上に高いのです。もっと言えば、今説明させていただいた事が旅館の館内で同時多発的に起こっているのです。(下図参照)

旅館全体の部屋食のイメージ図
  • 1人のスタッフが複数の部屋を担当する
  • 客室(密室)で皆がマスクをせずに食事と会話を楽しんでいる
  • スタッフは業務に追われ衛生管理の徹底が困難
  • それが同時多発的に行われている
  • スタッフ同士が給仕中にエレベータやパントリーなどの共有スペースで頻繁に出会う
  • 共有スペースも決して広くはない為、スタッフ間の密集が起きやすい

少し大げさかも知れませんが、旅館での部屋食の実態は、スタッフを介して間接的に宿泊者全員が同じ密室でバイキングやブッフェ形式で食事をしているようなものなのです。部屋食は、自分たちが客室から外に出ず、他の利用者の姿が見えないという安心感がありますが、実は間接的に見えない多数の利用者と接触してしまっているリスクが潜んでいるのです。

部屋食も色々、その見極め方

前項でお伝えしたのは一般的な旅館の部屋食の実像ですが、部屋食と言っても色々ありますので、感染リスクが少ない部屋食の形態をご紹介します。

宿泊単価が高い宿はリスクが少ない

一概には言えませんが、宿泊単価が高いと言う事は、1人のスタッフが受け持つお客様の数が少なくても収益が確保出来ると考えられます。例えば、1人のスタッフが1日10万円分のお客様の対応をする場合、客単価が1万円であれば10人対応する必要がありますが、5万円であれば2人で済みます。つまり、単純に間接的に接触する方の人数が少なくなりますのでリスクは減ります。また同時に、時間にゆとりが生まれますので手指のアルコール消毒などの衛生管理の徹底も容易になります。

客室数・収容人数が少ない宿はリスクが少ない

こちらも前項と同じように物理的に接触人数が減りますので、間接的な感染リスクも低下しますし、衛生管理も行き届きます。

部屋への出入り数が少なければリスクは少ない

会席料理のような食事形態の場合、前菜から始まり料理毎にスタッフの出入りが行われます。ですので必然的に、客室外でスタッフが違う利用者や他のスタッフと接触する頻度や、ドアノブやボタンなどに触れる回数も増えて行きます。また、料理提供の工程が増えますので衛生管理のレベルが低下すると考えられます。つまり、部屋食でも、会席料理ではなくお弁当などのように一度にすべてが提供される食事形態の方が感染リスクは下がると言えます。

自ら客室内の換気を行なう

お部屋は密室で換気が不十分です。ですので、食事をしている間、換気扇を回したり、窓を開け換気を行うことで感染のリスクを減らすことが可能となります。

部屋食における感染リスクのまとめ

部屋食は自分たちだけで食事が出来、他の利用者に合わないから安心というのは、はっきり言って幻想です。ご説明した通り、部屋の外ではスタッフは様々な利用者の部屋に伺い、他のスタッフとも接触しているのです。そして、手指の確実な消毒が行われないまま、あたながマスクをせずに食事をしている密室に食事が運ばれてくるのです。旅館側も可能な限りの対策は行っているはずですが、忙しくなればなるほど衛生管理の徹底が難しくなります。宿泊者の減少によりスタッフの人数を減らして営業されている所も少なくありませんので、スタッフの忙しさは増し、衛生管理は更に難しくなります。過度に心配する必要は無いと思いますが、部屋食にも感染リスクがあり、しかもリスクが高いと言うことは覚えておいた方が良いと思います。もし部屋食を希望されるのであれば宿側の衛生管理だけに頼ることなく、自ら窓を開け換気を行うことや、除菌シートを持参し食事中でも小まめに手指の消毒を行うことでリスクは確実に減らす事が出来るはずです。

ただ、筆者がプライベートで温泉旅館に行くのであれば、部屋食ではなく、換気の行えているレストランやホールなどの会場で、仕切りが設けられていたり、他の利用者と十分なソーシャルディスタンスがとれている席で食事が食べられる宿を選びます。そのような形態の方がスタッフがモノに触れる機会が劇的に少なくなりますし、衛生管理も確実行える為、ウイルス感染リスクが格段に少なくなるからです。

旅館選びをする際にチェックすべきポイント

ご説明したように一般の方が安全だと思われている部屋食も、内情を知る人間から見たら感染リスクが高いことが分かります。しかし、イメージだけではなく本当の旅館の実情を理解して、宿選びの際にリスク回避のポイントをしっかりおさえておけば、感染リスクを大きく減らし安心してゆっくりと滞在を楽しむ事が出来ます。ここからは、感染リスクコントロールを行なう為の宿選びのポイントをお伝えします。

新型コロナウイルス感染防止対策をホームページで確認する

これは基本中の基本です。ほぼすべてのお宿が感染防止対策を行っているはずですが、どんな対策を講じているのかを必ず確認しましょう。衛生管理や3密対策など様々な対策が行われていますが、筆者が確認した範囲では90%以上のお宿で内容はほぼ同じで「基本的な対策をしっかりやっています」と言う趣旨の内容です。また、掲載していて当然の時代ですので内容はもちろんですが、対策をきちんと分かりやすい所に掲載している施設かどうかをチェックする事で、お客様目線の対応やサービスをしているかどうかを知ることが出来ます。じゃらんnetや楽天トラベルでは表現場所やレイアウトに制限がありますので、対策は宿の公式ページで確認するのが確実です。予約自体はお得なサイトでしてもお宿の感染対策は同様です。

館内にある施設・設備を確認する

見落としてしまっている方がほとんどですが、感染リスクを確認する上ではここが最重要ポイントだとも言えます。前項でお伝えしたように旅館側が行っている感染防止対策はほとんど変わりません。では、どこでリスクを判断すれば良いのでしょうか?正解は「どんな利用客がいるか」です。不特定の利用者いる施設を使用するのが不安なのは、自分以外にどんな人がいるのかが分からないと言う事が大きな理由だと思います。しかし、旅館の場合は館内にある「施設・設備」を確認することで他の利用客がどんな方達なのかをある程度知ることが出来ます。

例えば、宴会場やスナック、カラオケルームなどが館内にある旅館であれば、団体客がグループおり、そこで3密が発生する可能性があります。会議室がある施設であれば、会議利用で不特定多数の方が集まっている可能性があると分かります。そのグループだけがその場所に隔離されているのであれば良いのですが、それはほぼありえません。パブリックスペースでそのような利用客との接触が十分に考えられます。また、この状況下において宴会やどんちゃん騒ぎをしている利用者がもしいるのであれば、その利用者は日常的に同じように感染リスクの高い自分勝手な行動をしながら生活を行っている可能性も高いと考えられます。部屋食の説明でお伝えしましたが、旅館のスタッフは複数の利用客を掛け持ってサービスを行っておりますので、もしかすると宴会場やスナックでサービスを行った後に十分な消毒が行われていないまま、あなたへのサービスが行われてしまう可能性もあります。スタッフには全く悪意はなく、そのような結果が生まれてしまうのです。

宴会場やスナック、カラオケルームが無いお宿を選べはベストですが、もしそのような施設や設備がある場合は、利用日にその施設を閉鎖しているかどうかを確認しておくことを強くおすすめします。

プランと提供サービスを確認する

こちらの項目も「どんな利用客がいるか」を確認出来るポイントです。宴会プラン、コンパニオンプラン、団体プランなどが販売されているようであれば、そのような利用形態で滞在している利用客がいると分かります。また、飲み放題やバス送迎などのオプションが設定されているのであれば、同様の利用形態での利用客の存在を知ることが出来ます。同級会プラン、老人会プランなどもその名称から簡単に判断することが出来ると思います。お宿がいくら全体的に感染防止対策をしていると発信していたとしても、このような利用客を受け入れている以上、根本的な感染リスクは排除出来ないでしょう。

ウィズコロナ時代の旅館選びのまとめ

ウィズコロナの時代では、感染リスクをゼロにすることは出来ない前提で旅館選びをしなければなりません。その中で、重要になるのはお宿の感染リスク削減対策にすべて任せてしまうのではなく、そのお宿がどのような営業形態でどんな客層の利用客の受け入れを行っているかなども良く調べ、そして考え、自らも感染リスクを最小限に抑える行動をする必要があります。そのように旅館と利用者が共にリスクを減らす努力をする事で、よりゆっくりと安心して滞在することができ、満足度の高い旅行が実現出来るのです。しっかり情報をとり、適切なお宿を選ぶことで旅館利用でのウイルス感染は限りなくゼロに近づけることが出来るはずです。

ウィズコロナ時代で感染リスクを減らす為のお宿選びのポイントは他にもいくつもありますが、最後に筆者が個人的に旅館を選ぶ場合に必ず注意するポイントをお伝えします。

旅館の内情を知り尽くした筆者が個人的な利用で温泉旅館を選ぶポイント

  1. 食事がバイキングやブッフェで提供されていない
  2. 食事が部屋食ではない
  3. 食事はパーテーションなど物理的な仕切りがある会場で提供されている
  4. 個室での食事の場合は、換気が十分にとれる造りになっている。または、自ら換気が行える環境である
  5. 団体客、大勢のクループ利用客がいない
  6. カラオケやスナックなど3密が起こりやすい施設が館内にない。または、使用していない
  7. コンパニオンや酌婦の受け入れをしていない
  8. 露天風呂がある。または、大浴場の換気が十分に行えている
  9. 宿泊料金は、1人1.5万円以上。(低料金の場合は衛生用品に十分なコストをかけられない為)
  10. 部屋にはベッドが備え付けられている

以上の条件を満たした宿で、他の利用客とのソーシャルディスタンスをしっかりとることで、旅館での感染リスクはほぼゼロになるでしょう。また、お宿によってサニタリーグッズが十分で無い場合も想定して除菌シートとアルコール消毒を持参して行けばさらに安心です。

ホテル旅館のキャンセル料の仕組み。緊急事態宣言発令、台風や大雪などの場合はどうなるのか?

ホテルや旅館のキャンセル料については、その存在は知っていても良く分からない方も多いかと思います。巨大台風などの異常気象や不慮の事故、または親族に不幸があった、最近では新型コロナウィルスによる緊急事態宣言の発令など、不可抗力によるキャンセルでもキャンセル料は発生するのでしょうか?今回はホテル旅館のキャンセル料の仕組みから、もしキャンセルせざるをえなくなった場合の対応方法まで、順を追ってお教えします。

参考記事:キャンセル後の再予約は「モッピー」を使ってお得度アップ

ホテル旅館のキャンセル料とは

まずは宿泊施設のキャンセル料について理解しましょう。少し難しい話になりますが、そもそも「宿泊予約」とは宿泊施設と利用客の間で結ばれる「契約」であり、その内容は宿泊施設毎に定められた「宿泊約款」に記されています。宿泊予約とは、対価を支払って特定の日に宿泊することができる権利を得る行為であって、利用客は宿泊施設に対しその契約を申し込み、 宿泊施設がこの申し込みを承諾することで契約成立となります。この契約は、直接電話で申し込んでも宿泊予約サイトで予約しても同じく適用されます。(旅行会社で予約した場合は、利用客は旅行会社と旅行業契約を結びます。)

キャンセル料はその宿泊約款に記された「宿泊客の責任-違約金」として必ず記載がありますので、利用客は宿泊予約をした時点でキャンセル料を支払う義務が発生することになります。またキャンセル料やキャンセルポリシーは、同じ宿泊施設の予約であっても、楽天トラベルやじゃらんnetなどの宿泊予約サイトによって異なっている場合もありますし、プラン毎に異なっているケースまでありますので必ず事前に確認しておくことをおすすめします。

宿泊約款:違約金記載例
楽天トラベル:キャンセルポリシー記載例

キャンセル料は何の為にあるのか?

では、ホテル旅館は何故キャンセル料を設けているのでしょうか。次はその理由について考えて見ましょう。宿泊約款の内容はホテル旅館によって様々ですが、宿泊施設がキャンセル料を定めている理由は、大きく分けて2つあります。

  1. 販売機会の損失に対する補償
  2. すでに発生した原価の補償

利用客が宿泊予約をした時点で、ホテル旅館はそのお客様が宿泊する客室をおさえます。そして、利用日までその客室の販売を止める形となりますので、仮にその他の方から該当客室を利用したいと申し出があっても予約を受ける事が出来ずお断りすることになります。キャンセル料とは「その予約が無ければ販売する事が可能だった」という前提に基づき、その補償として設定されているのです。その為、利用日に近くなればなるほど、販売機会の損失期間が長かった事になりますし、再販出来る可能性も減少してしまう為、キャンセル料は高くなるのです。

次は原価の補償になります。宿泊施設はその予約内容に応じて事前準備を進めていますので、キャンセルが発生した時点ですでに仕入れが発生している物も当然存在します。その補償としてもキャンセル料は使用されます。食事が伴う予約の場合、特に鮮魚や生鮮食品など保存が効かないものを扱っている場合は、その食材を破棄せざるをえない為、補償目的としてキャンセル料が設定されています。ですので、1泊2食付が主体の温泉旅館の方が、ビジネスホテルなどと比較するとキャンセルポリシーが厳しくなっているケースが多いのです。

現在のキャンセル事情

昨今はインターネット予約の増加に伴い、キャンセル数も増加しています。以前はキャンセルを行なう時は電話などで直接宿に連絡をして「人」にその旨を伝えなければなりませんでした。しかし、インターネットではクリックだけで簡単にキャンセルが出来てしまいますし、罪悪感も少ない為、キャンセルが増えているのです。予約が簡単になった分、キャンセルも簡単になっているのです。

キャンセルの理由は「予定が変更になってしまった」「都合が悪くなってしまった」など人それぞれですが、悪質なキャンセルが増えているのも現実です。同じ日に複数のホテル旅館を予約したり、同一の旅館に複数日予約を入れたり、自身の都合だけで宿泊施設や周りの方の迷惑を考えない人も増えています。しかも、そういった方に限ってキャンセルポリーを細かくチェックし、キャンセル料が発生するギリギリのタイミングで一気にキャンセルをされるのです。契約上は全く問題ないのですが倫理観が疑われます。

また、外国人旅行客の増加に伴いキャンセルも増えています。ホテル旅館側の一般的な認識では「外国人はキャンセルにルーズで、どうせキャンセル料を請求されないと思っているから平気でキャンセルする」という考えが主流ですが、私はそうは思いません。私は予約サイトのUI(ユーザーインターフェイス)や操作性に問題があると考えています。楽天トラベルやじゃらんnetなど日本の宿泊予約サイトはとても親切な作りになっていますが、海外の宿泊予約サイトはとても分かり難い作りになっていると感じています。中には予約が成立しているかどうかも分からないような物も少なくありません。つまり、予約をしたと本人が気づかずノーショー(無連絡キャンセル)となっているケースも少なくないと考えています。

様々な理由により、ホテル旅館でのキャンセル件数は増加しているのです。

【仮予約はNG】絶対にやってはいけないホテル旅館の予約方法を徹底解説

キャンセル料は払わなければいけないのか?

正解はYESです。先にもご説明した通り宿泊予約は契約なのです。契約している以上、どんな理由であったとしてもキャンセル料の支払い義務があります。仮に支払いを拒否したとしても、ホテル旅館側が訴訟を起こせば民事訴訟となり法廷で争う形となります。また、実際に裁判が行なわれた場合でも、支払わないということ自体が契約の不履行にあたりますので、ホテル旅館側が極めて有利になります。

しかし、長年宿泊業界にいる私でもキャンセル料の支払いで訴訟を起こしたと言う話は聞いたことがありませんし、裁判にはかなりの手間がかかりますので、数万円程度の金額に対して訴訟を起こすという事は賢明な判断ではないのかも知れません。

だからと言ってキャンセル料を踏み倒して良いというわけではありませんし、人としての在り方が問われます。また、悲しい現実ではありますが、そういった心無い方が増加している為、事前カード決済を必須にしたり前受け金(デポジット)を求めるホテル旅館も増えてきています。先の通り、さまざまな要因からキャンセル数も増加傾向ですので、ホテル旅館は売上や利益を確保する為にキャンセルポリーを厳しくすると同時に、予約時点で回収を確実なものにする為の動きを強めているのです。一部の心無い方の為に、宿泊予約も簡単に出来ない不便な世の中になりつつあるのです。

新型コロナウィルスの拡大、台風や大雪などの自然災害、親族の不幸など、不可抗力でのキャンセルは免責されるケースもある

キャンセルの理由はさまざまですが、お客様の責任ではどうにもならない事態でキャンセルをせざるをえないケースも多く存在します。では、その場合キャンセル料はどうなるのでしょうか。

基本的な考え方としては、宿泊予約は契約ですのでキャンセル料の支払い義務は存在します。しかし、日本のホテル旅館では決してその限りではなく、柔軟な対応をされる宿泊施設も少なくありません。仮にインターネットから予約をしていたとしても、直接電話をして内容を説明することでキャンセル料をいただかないと言ってくれるホテル旅館も多いのです。事実、私の経営する温泉旅館でも悪質なキャンセル以外は、キャンセル料はいただいていません。自身の旅館に宿泊されることを楽しみにしてくれていた方が、本人がどうしようも無い理由でキャンセルしなければならなくなったのです。残念な思いをされている方に「キャンセル料をいただきます」とは、なかなか言えません。また先の通り心無い方が増えている現代ですので、きちんと誠意を持ってお電話いただけることを逆に喜びだと感じますので「またご機会があったらご利用をご検討ください」とお伝えさせていただいています。そういった方の多くが後日「あの時キャンセルしてご迷惑をおかけしました」と改めて宿泊していただいています。

契約も大切ですが、もっと大切なのは利用客と宿泊施設の信頼関係なのです。キャンセル料が発生するタイミングでキャンセルをしなければならなくなった場合は、素直に誠意をもってその理由を電話でお伝えすることをおすすめします。必ずそうとは限りませんが「キャンセル料は結構です」と言っていただけるケースも少なくないはずです。

「事前決済」「オンラインカード決済」をしていた場合のキャンセル料はどうなるのか?

宿泊予約サイトで予約時にカード決済をした場合についてお伝えします。楽天トラベルやじゃらんnetでは、予約時にクレジットカードで支払いを済ませてしまうことが可能です。その場合、宿泊代はすでに支払っていますのでキャンセルになった場合は「キャンセル料を差し引いた金額」が返金されます。

これは厳密に言うと、利用客が使用したカード会社の締め日によって2つのケースがあり、1つは先の通り、キャンセル料を差し引いた金額が返金になる場合。もう1つは、クレジットカードの締め日前にキャンセルをした場合で、この場合はキャンセル料がそのまま引き落とされます。

ここで重要なポイントが1つあります。それは、上記の何れの場合もホテル旅館側がキャンセル料の支払いを免除することが出来るという事です。楽天トラベルでもじゃらんnetでも同様で、宿泊施設は管理画面から「キャンセル料を0円にする」ことがシステム上可能なのです。つまり、インターネットでそのままキャンセルをすると、キャンセルポリシーに準じたキャンセル料が自動で発生しますが、直接宿にキャンセル連絡をすることで、キャンセル料はその限りではないと言うことです。

【楽天トラベル】キャンセル料はいつから発生するの?仕組みも徹底解説
【じゃらんnet】キャンセル料はいつから発生するの?仕組みも徹底解説

まとめ

  • 宿泊予約をした時点でキャンセル料の支払い義務が発生する
  • キャンセル料は宿泊施設への補償
  • キャンセル料は必ず支払うべき
  • 不可抗力でのキャンセルは免責されるケースもある

今回はホテル旅館のキャンセル料とは何なのかをご説明しましたが、どんな時代になったとしても一番大切であり守るべきは契約ではなく「利用客と宿泊施設の信頼関係」だと私は考えてますし、同様の考えをもった業界関係者も沢山いらっしゃいます。キャンセルをしなくてはならなくなった場合、まずはお宿に直接連絡を入れて正直にその理由をお伝えすることを強くおすすめします。また、台風などキャンセルになってしまう可能性が事前に分かるような場合は、その段階でお宿に相談をしてみるのも良いでしょう。

近年はキャンセル料の請求が怖くて予約が出来ないという方も多いと聞いたこともありますが、もしそのような事態が起ったとしても誠意をもった対応をすれば、お宿から無下にされることは少ないのではないでしょうか。また、そういうお客様が増えることで柔軟な対応をしてくれるホテル旅館も増えてくるでしょう。

参考記事:キャンセル後の再予約は「モッピー」を使ってお得度アップ