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【旅館の利用法】入れ墨・タトゥーと温泉入浴の微妙な関係

温泉旅館をはじめとする日本の多くの入浴施設は、入れ墨やタトゥーを入れられている方の入浴を拒否しています。しかし、昨今は外国人旅行者(FIT)の増加やファッション目的に入れ墨を入れられている方も増え、時代の流れと入浴施設の対応にギャップが生じて来ています。

そもそも論として、入浴施設は何を根拠に入れ墨を排除してきたでしょうか。今回は、その理由と今後の入れ墨と温泉入浴について考えてみたいと思います。

何故入れ墨があると入浴出来ないのか

皆さんもすでにお分かりかと思いますが、日本人の多くが「入れ墨=暴力団・ヤクザ」のように、入れ墨から反社会勢力をイメージされ、浴場で入れ墨を入れられた方に出会うと恐怖を感じてしまう事が、入浴施設が入れ墨の入った方をお断りする一番の原因です。筆者の経営する温泉旅館でも稀にお客様から「お風呂に入れ墨の入った人がいるので何とかしてください。」と言う声をいただきますが、正直にお伝えすれば、スタッフもお客様と同じく入れ墨に対して恐怖を持っていますので、その方に「ご遠慮ください」とお声がけする事が出来ない場合も少なくありません。

大きなお風呂や温泉は、のんびりゆっくり寛ぐ所ですが、入れ墨は「恐怖」という形で、それを妨げてしまう要因になってしまう為、多くの入浴施設は入れ墨を排除するような営業形態をとっているのが現実です。何故、日本人がそのようなイメージを持つようになったのかは諸説あるかと思いますが、日本人の多くが「入れ墨=反社会勢力=怖い」と言う認識を持っていることは事実です。

ここに大きな問題があります。現在はファッションや文化、宗教上の理由などにより入れ墨やタトゥーを入れられている方も多くいらっしゃいます。しかも、入れられている方の大多数は反社会勢力ではなく、一般の方であり、周囲の皆さんに恐怖を与えようと言うような意図は全く無いと言う事です。

昨今の入浴事情

近年は、多くの外国人の方が日本観光に訪れるようになり入れ墨が身近になって来ていることや、スポーツ選手や芸能人など、社会的影響力のある方がタトゥーをファッションとして入れたりしており、入れ墨への認識もだいぶ変わりつつあります。それに合わせて「入れ墨=怖い」と言うイメージも少しずつ薄まってきてはいますが、未だに否定的な印象を持たれている方のほうが大多数であることも現実です。

温泉旅館や入浴施設もその社会的全体の認識の変化は感じとっていますし、近年増加している外国人旅行客を取り込んで行く為には、規制の緩和が必要な事は十分理解しています。しかし、ぞれぞれの方がどんな目的で入れ墨を入れられているかを確認する事は難しく、また「恐怖」と言う視点で見れば、デザインや柄、色などによる視覚的な違いによっても受ける印象は異なってきます。入浴施設はそのような個々が受ける印象まで把握することも、線引きすることも出来ない為、すべてNGという体制をとらざるをえないのです。

それでも入浴した場合はどうすれば良いのか

入れ墨問題は入浴施設の対応うんぬんではなく、周りの方が受ける「印象」という極めて抽象的な部分に大きな原因がある為、「こうだ!」と言う正解を見つけ出すことが難しいのです。国も外国人旅行者の満足度向上に向けて、入浴施設に規制の緩和をするよう動いていますが、先の通り問題は入浴施設ではなく、日本人が持つ社会的イメージにありますので解決にはまだ少し時間がかかるでしょう。しかし、その国民的イメージの転換と入浴施設の対応の変化のスピードは、確実に加速してきていることも事実で、筆者の感覚では2025年~2030年には、状況はかなり変わっていると思います。

では、それまでの間、入れ墨を入れられた方が意図せず周りの方に恐怖を与えることなく、温泉を楽しむ為にはどうしらたら良いのでしょう。今回は2つの方法をご紹介します。

貸切風呂・家族風呂を利用する

現在は、一定の時間を貸し切ることが出来る「貸切風呂」や「家族風呂」などのプライベート温泉を用意している施設も多く存在します。温泉旅館はもちろんですが、日帰入浴施設でも貸切風呂を用意しているところも少なくありません。そこを使用すれば、他の方と出会うこともありませんので、入れ墨を入れていても周りに気兼ねすることなく温泉を楽しめます。プライベート空間と言う意味では、露天風呂付客室を予約するのもよいでしょう。

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入浴着やスキンカバーシートを使用する

傷や手術痕などを隠す為の「入浴着」や「スキンカバーシート」を使用するのもおすすめです。大きい範囲であれば入浴着、小さい範囲であればシートで良いでしょう。また、スキンカバーシートは問題ないかと思いますが、稀に入浴着の着用を嫌う入浴施設もありますので、入浴着を希望される場合は事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

入れ墨と温泉入浴の関係は、日本人が入れ墨に持つイメージに依存しており、その問題の根深さから、現在でも過半数の入浴施設が入れ墨を入れられた方の入浴を制限しています。しかし、そのイメージも確実に変わりつつあり、今後はさらに温泉を楽しみやすい環境となってくるでしょう。

先に上げた方法も良いとは思いますが、「隠す」と言う行為を繰り返していてもこの問題の根本的な解決にはならないのです。より多くの日本人が持つ「入れ墨=怖い」と言うイメージを払拭して行く為には、入浴施設も制限を撤廃し、よりオープンな場を提供することで、日本人に入れ墨やタトゥーに慣れてもらう必要があるのではないでしょうか。実際に入れ墨やタトゥーを見ていただいて「な~んだ、全然怖くなんてないんだね。タトゥーを入れていても全然普通の人なんだな。」そんな風に思ってもらうことがとても重要なのです。

怖いと言うイメージを薄めていく姿勢こそ、国内外のより多くの方に日本が持つ天然資源である温泉を楽しんでいただく為の最短ルートなのではないかと考え、筆者の経営する温泉旅館では入れ墨やタトゥーの入浴制限は行なっていません。また、そのような入浴施設は確実に増えてきています。

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2021年6月開催!【じゃらんスペシャルウィーク 】を攻略!

じゃらんスペシャルウィークはこちら

2021年4月7日から「じゃらんスペシャルウィーク」がスタートしました。高額クーポンやお得なポイントアッププランなど、4月20日までの2週間に亘るビッグセールです。

宿泊予約サイト最大手の「じゃらんnet」のセールですので、各ホテル旅館もかなり力を入れているのが分かります。温泉旅館支配人の筆者や同業の中でも「このセールで春夏旅行の予約をしっかり獲りたい!!」と鼻息を上げている方も少なくありません。ユーザーの皆さんにとっては今まで以上に沢山のお得が詰まったセールですので、このチャンスをお見逃しなく。

https://youtu.be/cZ17FZc855Q

スペシャルウィークの内容は?

「じゃらんスペシャルウィーク」は、大きく5つのコンテンツから構成されています。割引クーポンと割引プラン、そしてポイントUPプラン、この3つは宿泊予約サイトのセールでは王道ですが、スペシャルウィークには「無料宿泊券プレゼント」があるのも特徴の1つです。また、注目すべきはお得な「交通+宿泊プラン」で使える高額クーポンも揃っているのが魅力です。パック予約で使えるクーポンは最大50,000円のものまであります。

では、1つずつご紹介します。

事前エントリー&宿泊で抽選で1,000ポイントプレゼント

こちらは、じゃらんスペシャルウィーク開催前にしておくお得キャンペーンでう。事前にエントリーをしておいてからスペシャルウィーク期間中にじゃらんnetで予約をすると、宿泊後、抽選で2,020名に1,000ポイントが当たると言うものです。エントリーはクリックするだけで完了ですので、忘れずに事前エントリーをしておきましょう。(※開催が始まると、このキャンペーンは終了となります。)

>ポイントプレゼントへのエントリーはこちら

スペシャルウィーク限定クーポン

ご利用条件に応じた各種クーポンが用意されていますので、皆さんのご利用条件に合わせて取得し、使用してください。

最大10,000円分クーポン

『じゃらんスペシャルウィーク限定プラン』に使用出来るクーポンで「500円・1,000円・1,500円・2,000円・5,000円・10,000円」の割引額の違う6種類のクーポンがありますので、下記バナーから取得してください。割引額が高額なクーポン程、配布枚数も少なく、利用条件が厳しくなっています。(クーポン利用期間などは金額が変わっても統一です。)

  • 配布期間:2021年4月7日(水)10:00~2021年4月14日(水)23:59
  • 予約期間:2021年4月7日(水)10:00~2021年4月14日(火)23:59
  • 宿泊対象期間:2021年4月7日(水)チェックイン~2021年9月30日(木)チェックアウト
「じゃらんスペシャルウィークプランで使えるクーポン」の取得はこちら

全宿泊施設で使えるクーポン(※超おすすめ!)

こちらは、じゃらんnetに掲載されている全宿泊施設で使えるクーポンで、限定プランなどの縛りも無く使用できますので、とてものおすすめのクーポンです。配布枚数に限りがありますが、旅行や観光を盛り上げようと、じゃらんも大奮発で、それぞれ千枚で発行していますので、高額クーポンを使ってお好みの宿の予約をしましょう。本当に一押しです!

「全宿泊施設で使えるクーポン」の取得はこちら

全宿泊施設で使えるクーポンの種類と枚数

  1. 宿泊代金70,000円以上、4,500 円分クーポン:1,000枚
  2. 宿泊代金60,000円以上、4,000 円分クーポン:1,000枚
  3. 宿泊代金50,000円以上、3,000 円分クーポン:1,000枚
  4. 宿泊代金40,000円以上、2,500 円分クーポン:1,000枚
  5. 宿泊代金制限なし、700 円分クーポン:20,000枚
  • 配布期間:2021年4月7日(水)10:00~2021年4月14日(火)23:59
  • 予約期間:2021年4月7日(水)10:00~2021年4月14日(火)23:59
  • 宿泊対象期間:2021年4月7日(水)チェックイン~2021年9月30日(水)チェックアウト
「全宿泊施設で使えるクーポン」の取得はこちら

スペシャルウィーク期間限定クーポン

このクーポンは、スペシャルウィーク限定プラン以外のプランでもスペシャルウィーク開催中であれば使えるクーポンです。こちらはお宿が任意の条件で発行しているクーポンですので、宿によっては数千~数万のクーポンを発行している所もありますので見逃せません。下のリンクから進むと地域で絞り込んでクーポンを検索する事が出来ます。

「宿泊施設のおすすめクーポン」の取得はこちら

「じゃらんパック」で使えるクーポン

「宿泊+航空券」のダイナミックパッケージプランで使える「50,000円~3,000円」割引クーポンがANA・JAL共に用意されています。こちらも高額クーポン程、発行枚数や利用条件がきつくなっています。(クーポンの利用期間は統一です。)また、今回からJRの予約で使えるクーポンも発行されているのポイントです。

  • クーポン獲得・予約対象期間:2021年4月7日(水) ~ 2021年4月20日(火)
  • 出発対象期間:2020年4月8 日(木) 出発 ~ 2022年3月21日(月)出発※最長
「じゃらんパックで使えるクーポン」の取得はこちら

全国のレンタカーで使えるクーポン

下記バナーから特集ページへ進むと、地域や車種によって使えるクーポンを検索し取得する事が出来ます。1,000円~最大10,000円まで16種類のクーポンがあります。(クーポンの利用期間は統一です。)

  • クーポン獲得・予約対象期間:2021年4月7日(水) ~ 2021年4月14日(水)
  • 返却対象期間:2021年4月7日(水) ~ 2021年9月30日(木)
「じゃらんレンタカーで使えるクーポン」の取得はこちら

「遊び・体験」予約に使えるクーポン

このクーポンは「いちご狩り」や「陶芸体験」など旅先でのアクティビティの予約の際に使えるクーポンです。春は屋外で遊べるアクティビティも一気に増えますので、とても良いタイミングで使えるクーポンだと思います。各種条件に応じて「6,000円~600円」のクーポンが用意されています。発行期間などの条件はクーポンにより異なりますので、リンクよりクーポン取得ページに進み個別にご確認ください。

「じゃらん遊び・体験で使えるクーポン」の取得はこちら

最大50,000円分クーポン

こちらのクーポンは特定の宿泊施設で使える高額クーポンとなっています。クーポンの配布期間が2つに分かれており、合計9軒のホテル旅館で使用する事が出来ます。何れも枚数限定の先着順。予めページでお目当ての施設を確認しておき、配布が始まったらすぐに予約が出来るようにしておくと良いでしょう。

  • 【第1弾】配布期間:2021年4月2日(金)10:00 ~ 2021年4月14日(水)23:59
  • 【第1弾】予約期間:2021年4月7日(水)10:00 ~ 2021年4月14日(水)9:59
  • 【第2弾】配布期間:2021年4月2日(金)10:00 ~ 2021年4月20日(火)23:59
  • 【第2弾】予約期間:2021年4月14日(水)10:00 ~ 2021年4月20日(火)23:59
「クーポンの取得」はこちら※ページ中段

スペシャルウィーク限定プラン

ポイント10%還元・保証プラン

呼んで字のごとく、宿泊するとポイントが10%還元されるプランです。100軒超のホテル旅館のプランが揃っていますので、都道府県を選択してしっかりチェックしてください。

「ポイント10%還元・保証プラン」の予約はこちら※ページ中段

交通+宿泊セットのお得プラン

筆者は、この「じゃらんパック限定プラン」が今回のセールの隠れた目玉企画だと思っています。ダイナミックパッケージはただでさえお得なのにも関わらず、今回はコロナの影響を受けた航空会社が少しでも乗客が増えるようにハンパではない価格を出しています。

また、出発期間も今年の10月までと非常に長いですので、この機会にゴールデンウィークや夏休みの計画を立てるのも良いでしょう。

  • セール期間:2021年4月7日(水) ~ 2021年4月20日(火)
  • 出発対象期間:2020年4月8 日(木) 出発 ~ 2022年10月31日(日)出発※最長
「交通+宿泊セットのお得プラン」の予約はこちら

参考記事:【ダイナミックパッケージ】が安い理由とお得な利用方法

じゃらんレンタカー期間限定プラン

観光旅行だけでなく、筆者は遠方の地方への出張の際に航空券と合わせて使って重宝しています。

「じゃらんレンタカー」の予約はこちら

じゃらん遊び体験プラン

いちご狩りに入園パス、船での川下り等々、春のアクティビティが満載です。

「じゃらん遊び体験プラン」の予約はこちら

無料宿泊券プレゼント

セール中の無料宿泊券プレゼントの対象施設は全12施設。何れもハイクラスでなかなか宿泊する事が出来ない素敵なホテルばかりですので、この機会に是非応募しておきましょう。ホテルにより応募期間が異なっていますので、事前にどんなホテルがあるのかチェックしておく事をおすすめします。

  • 【第1弾】応募期間:2021年4月7日(水)10:00 ~ 2021年4月13日(火)23:59
  • 【第2弾】応募期間:2021年4月14日(水) 10:00 ~ 2021年4月20日(火)23:59
「無料宿泊券プレゼント」の応募はこちら※ページ下段

まとめ

じゃらんスペシャルウィークはとても盛り沢山のセール内容ですので、すべてをチェックするのはなかなか難しいのが正直なところです。ですので、枚数が少ない高額クーポンを狙うのはほどほどにして、筆者は「全宿泊施設で使えるクーポン」「ポイント10%還元・保証プラン」「 交通+宿泊セットのお得プラン」に絞って攻略することをおすすめします。もちろん、近隣のアクティビティのチェックもお忘れなく。

これから間際の冬の予約は「セール対象のプランで使えるクーポン」と「ポイント10%還元・保証プラン」。春の予約は 「 交通+宿泊セットのお得プラン」 。この2つに分けて宿選びをされるのがおすすめです。

じゃらんスペシャルウィークはTOPページはこちら

【旅館のマナー】仲居さんへの心付け(チップ)が不要な3つの理由

温泉旅館に宿泊する際に「心付け」や「チップ」を渡す必要があるか迷われる方も多いかと思います。渡さないと失礼な人だと思われてしまわないか?常識の無い人だと思われたらどうしよう?そんな風に思われる方もいらっしゃるかも知れません。でも、安心してください。結論から申し上げれば、心付けは不要です。

筆者が経営する温泉旅館は、お一人様あたりの平均宿泊単価が3万円以上ですが、心付けお持ちになるお客様は1%もいらっしゃいません。また、心付けの有無でお客様を区別したり、接客姿勢を変える事もありません。今回は、現在の温泉旅館事情と合わせて「心付け」に対する考え方を学んでいきましょう。

 

「心付け」とは

心付けとは、お世話になる方、またはお世話になった方にお渡しする謝礼の事ですが、現在では、おもてなしやサービスの対価は「宿泊代」「サービス料」として事前に提示されていますので、それ以上の謝礼を渡す必要はありません。しかし、皆さんが悩まれるのは心付けに「感謝の気持ち」と言う意味が含まれている事をご存知だからだと思います。ですが、当たり前ですが感謝の気持ちは「ありがとう」と言う言葉でも伝える事が出来ますし、先にご説明した通りサービスの対価として料金が設定されていますので、心付けを渡さないと宿側に失礼だと言うことは全く無いのです。

「働き方改革」が進む日本のお宿

温泉旅館の仲居さんに心付けを渡すと言う文化が何故生まれたのか正確な事をお伝えする事は出来ませんが、心付けの誕生には「働き方」が大きく関わっているように思います。

以前は、「仲居」と言う職業は典型的な長時間・低賃金労働でした。筆者が旅館で働き始めた十数年前でも、住み込みで朝から晩まで働いている方もおられました。また、さまざまな事情で住み込みで働らかざるをえない方も多く、宿側も「雇ってあげている」と言う感覚を持っており、とても低い賃金で働いている方も少なくありませんでした。海外ホテルのドアボーイにチップを渡すのと同じように、旅館に泊まったら低賃金で働いている仲居さんに心付けを渡すと言う形が生まれて来たのでは無いかと思います。語弊があるかも知れませんが「仲居さんは、長時間・低賃金労働なのだから」と言う社会的な共通認識の中から、お礼の気持ちとしてお金を渡すようになったと筆者は考えます。逆にそう考えなければ、その他のサービス業において心付けという文化が無いと言うことに説明が付かないように思います。

何れにしても現在では、旅館でも働き方改革が進み、仲居さんの賃金も向上し、夜働いて朝も出勤する「たすきがけ」や、拘束時間が長くなる「中抜け」のような勤務形態も少なくなってきています。また、労働基準法を遵守するのであれば、そのような働き方は法的にも出来なくなってきています。よって、感謝の気持ちとしてお金を渡す必要はもう無いのです。

個人プレーからチームプレーへ

以前は、1人の仲居さんがご到着から朝夕のお食事の用意、そしてお見送りまで、1組のお客様を1人が担当していました。その為、お客様との距離が非常に近く、1泊でそのお客様ととても親しい関係になることも多くありました。しかし、現在の多くの旅館では担当制を止め、スタッフがチームやユニット単位でお客様をおもてなしするような形態へサービスのあり方が変化してきています。

その理由は、お客様がべったりのサービスを好まなくなった事、そして宿側の理由としては、サービス品質を安定させる事が上げられます。担当制の場合、それぞれのスタッフのサービスレベルにお客様の満足度が依存してしまう為、宿全体のサービスレベルが安定しないデメリットがあります。Aさんが担当したお客様はすべて大満足なのに、Bさんが担当するとクレームだらけ。担当制を採用している旅館では、このような事が日常的に発生しており、旅館経営と言う意味では非常に大きなリスクです。Aさんが何らかの事情で退職した場合に営業がなりたたなくなってしまうからです。

心付けは担当していただいた方への感謝の気持ちですので、チームでおもてなしをしていただいた場合には渡す相手も明確ではないですし、気持ちをお金としてお渡しするほど関係性が深まらないのも現実です。

おすすめ記事:【モッピー】ポイ活で宿泊予約を圧倒的にお得にする方法。

心付けは課税される

担当制を止められているお宿の場合でも心付けをいただく場合もあります。その場合、多くの宿は会社としてそのお金を管理し、売店などで販売している商品をお土産でお渡ししたり、食事中の飲物をサービスするなどのお返しを行ないます。そして、経理的には雑収入として計上しますので、当然課税対象になり、せっかくの気持ちが半減してしまうのです。むしろマイナスになる可能性さえあります。

先にご説明したように、仲居さんが個人所得として心付けをいただくのではなく、チームで心付けをいただいた場合は分配率などの問題が生じる為、会社が一括で管理するようになり、さらに収入として計上しなければならない為、課税もされます。しかも、旅館は「いただいたからにはお返しを」考え、お土産や必要以上のサービスをしてくれます。もちろん、そんな事を求めてお渡ししているのでは無いですが、日本人ならもらったからにはお返しをしたいと考えるのが普通のように思います。現在の旅館の在り方の場合、心付けは逆にお宿に迷惑をかける形になってしまう場合もあるのです。

また、電話での予約はではなく宿泊予約サイトを使う事で、お宿との直接的なやりとりが無く予約自体がライトな印象となり、お宿側も心づけがもらえると言う意識もほぼなくなりますので、予約は宿泊予約サイトから行うのがスマートです。

まとめ:どうしても感謝の気持ちを伝えたい場合は

上記の理由より、基本的には温泉旅館では心付けは不要です。しかし、本当に良くしていただいたり、ご迷惑をおかけしてしまった場合に、何か感謝の気持ちをと考えられる方も少なくないと思います。そのような場合、筆者はこうしています。

  1. チェックアウト時に直接、感謝の気持ちを伝える
  2. 後日、手紙を添えてお菓子などを送る

この際に、溢れる感謝の気持ちを伝える為に、誰もが知っているような高級菓子を贈ると、逆にお返しが送られてきてしまいますので、適度な物を選ぶ必要があります。あなたの地元のちょっとしたお菓子、それで十分です。もっと言えば手紙だけでもあなたの気持ちは十分伝わるはずです。

また、どうしても滞在中に心付けを渡したい場合でも、お渡しする場合はチェックアウト時に「お世話になりました。」と、さっとお渡しするのが良いでしょう。到着時にお渡しすると「何かしてくれよ。」と受け止められる場合も多いですので気をつけてください。

 

 

【失敗しない宿選び】たった4つのコツであなたの宿選びが劇的に変わる!

旅行で失敗しない宿選びをする為には多くのコツが存在します。今回はあなたに合ったお宿に巡り合う為の重要なポイントを4つに絞ってお教えします。宿選びはコツさえ掴めば、必ず満足の行くお宿を選ぶ事が出来るようになりますので、1つずつその理由も含めて解説させていただきます。

コツ1:口コミを正しく読む

口コミはお宿選びをする中でとても重要なポイントであり、すでに皆さんも確認されている部分だと思います。宿泊予約サイトに投稿された口コミ内容は、ホテル旅館もサイト運営側も関わることが不可能ですので、実際の利用者の生の声をそのまま見る事が出来、宿選びには絶対欠かせないポイントです。しかし、口コミは「面識も無い、一個人の意見」と言う側面も持ち合わせていますので、読み方が重要になってきます。そこで、どんな部分に注意して読めば良いか解説していきます。

  1. 世代は合っているか
  2. 投稿日をチェック
  3. 似非評論家の意見は除外
  4. 低評価にこそ重要な意見がある

世代は合っているか

旅行にどんな目的を持っているのかは千差万別です。ですが、大きな価値観の方向性は「世代」で判断出来ます。高齢者の方が良いと感じるモノと若者が良いと感じるモノは違って当然です。多くの口コミサイトでは、20代、50代など投稿者の世代を判断出来る項目がありますので、ご自身と近い年代の意見を参考にされると良いです。

投稿日をチェック

古い投稿は信憑性に欠けます。お宿はリニューアルをしたり、日々サービス内容を改めたりしています。また支配人や料理長が変わったなど、サービス内容を根底から変える人事も当然あります。ですので、古い投稿はそのホテル旅館の今の現状を表していない可能性が高まります。予約サイトの口コミには投稿日の記載もありますので、必ずチェックしましょう。

似非評論家の意見は除外

クチコミを読んでいると、評論家が書いたのかな?と思うような投稿を見かけることがあります。そのような投稿は、自身のエゴの主張やマウンティングをしたいだけのケースがほとんどで、全く根拠の無い偏った意見である場合が多いです。その為、あなたの宿選びの参考にはならない「スパム」として理解して間違いありませんので読み飛ばしてください。

低評価にこそ重要な意見がある

星の数などで低評価をされているクチコミこそしっかり読みましょう。低評価になってしまった理由として「好みの違い」が多くあります。同じサービス内容でも、Aさんには最高、Bさんには最悪のおもてなしである事も良くあります。低評価の口コミには、その内容が細かく書かれていることが多いです。例えその口コミが低評価だったとしても、しっかり読み込む事で逆にあなたの好みに合ったお宿であると分かる場合があるのです。

参考記事:【失敗しない宿選び】★の数だけで選ぶと失敗する!?口コミ・レビューの正しい読み方

コツ2:「広告」なのか「おすすめ」なのかを見極める

温泉旅館支配人の筆者がおすすめする宿泊予約サイトは「楽天トラベル」と「じゃらんnet」ですが、いずれのサイトも価格や地域などに寄って表示の順番を並び替える機能がついています。このソート機能は非常に便利で、特に「おすすめ順」と言う項目は非常に重宝します。それは、単純に口コミの評価だけでなく、直近の1か月間の利用者数などをサイト側が総合的に検索し、おすすめ順に並べてくれるからです。しかも、今後AIが進歩していくことで更にパーソナライズされたおすすめを提示してくれることになるでしょう。

その「おすすめ順」を見ていく中で重要なポイントが1つあります。それは、正規のおすすめ順の最上位に「広告」が混じっていると言うことです。実際の画面を見てみましょう。

楽天トラベルで「おすすめ順」にソートした画面
上部に【注目!】と表示されています。
じゃらんnetで「おすすめ順」にソートした画面
上部に【注目プランのある宿】と表示されています。

このような表示されているモノはすべて広告で、広告が実際のおすすめ順の上に表示される仕組みになっているのです。これはリスティング広告と言われるもので、見慣れてくると広告だと分かりますが、使い慣れていない方にはサイトがおすすめしている宿のように映ります。もちろん、広告で表示されるホテル旅館が悪いと言う分けでは全くありませんが、勘違いをしてしまい易いので宿選びの際は注意が必要になります。(リスティング広告以外にも、宿泊予約サイト内にはさまざまな情報が広告として表示されています。)

参考記事:【失敗しない宿選び】国内予約は「楽天トラベル」と「じゃらんnet」だけチェックすればOK。

コツ3:曖昧(あいまい)な表現は読み飛ばす

webページの多くは文章と画像(近年は動画)で構成されており、お宿も同様に自館の内容をテキストと画像で表現しています。その中でこんな表現を見たことは無いでしょうか?

  • 四季折々の旬の食材を使用して…
  • 料理長が厳選した…
  • 広々とゆったりした…
  • 野趣溢れる開放的な…

このような表現は温泉旅館などのページに散見される表現ですが、イメージは何となく分かるのですが、抽象度が高く非常に実態が掴みにくい表現です。また、料理に使う食材は料理長が厳選するべきですし、冷凍保存が出来ない食材以外は旬でない食材を仕入れる事の方が難しく、原価もかかってしまう為、ほぼすべての宿が行っていることなのです。ですので、このような表現は「当たり前」と認識し、お宿選びの基準から外すのが良いです。

逆に下記のように「これでもか」と言うくらい具体的な表現こそ、しっかり読み込んでください。そこを読み込むことで、あなたの求めているサービスなのか、そうでは無いのかが明確に見えてくるのです。下記の旅館の場合は、伝統野菜に興味のない方にとっては必要の無い価値だと明確に分かります。

「伝統野菜」というと京都や金沢を連想されるかもしれませんが、新潟にもたくさんの伝統野菜があります。「かぐら南蛮」「長岡丸茄子」「魚沼きんちゃく茄子」「大崎菜」「黒崎茶豆」……、数え切れないほどの種類があります。とくにナスの種類は20以上といわれ、夏から秋の新潟はナス天国! しかし新潟の伝統野菜は、京都や金沢のように飲食店で使われることがないので生産量はごくわずか。流通市場もないので多くの品種を安定的に入手するのはかなり困難です。「早苗饗 −SANABURI−」では、「そんな新潟の伝統野菜に少しでも光があたれば」という想いから、県内各地の生産者から野菜を直送してもらい(または取りに行って)料理に使っています。生産量が限られているため常にご提供できるものではありませんが、料理に伝統野菜が入っていたらじっくりと味わっていただければ幸いです。

引用元:食材について | 里山十帖 created by 自遊人

コツ4:写真や画像は大事だけれど、、、

現在は、綺麗な写真や画像を見て文章を読むかどうかを決めると言う方も少なくありません。筆者も同じです。しかし、「掲載画像と全然違った!」「だまされた!」と言う指摘やクレームが後を絶たないのも現実です。

ホテル旅館側としたら、写真の良し悪しは売上に直結しますので「少しでも良く見せたい。」と言う気持ちになるのは当然です。そこで多くのお宿は、さまざまな技術を駆使してクレームにならない範囲で写真を「盛って」掲載しています。この盛り過ぎがクレームの1つの原因です。また、同じ理由でお宿は、一番良い時の写真をずっと使っています。リニューアルや改装をした直後に写真を撮って、20年間その写真を使っているなんて事も普通にあります。その時生まれた赤ちゃんが成人してしまう年月です。当然現在の姿とはかけ離れていて当然です。では、どのうように見分けたら良いのでしょうか。

  • 直近の口コミ20件(または1年間分)をチェックする
  • 動画は信ぴょう性が高い
  • 改装やリニューアル年をチェックする
  • アーカイブで過去のwebページを確認する

先にもご説明しましたが口コミは多く皆さんの主観の集まりです。ですので、直近の星の数が4点以上で安定しているのであれば、ある程度画像の信ぴょう性が高いと判断出来ます。現実とかけ離れた画像を使っていればあっと言う間に口コミは下がってしまいますので、範囲を広げて口コミを見てみると良いでしょう。また動画の加工にはかなりの技術や労力が必要ですので、動画は加工処理がされていない場合が多いです。と言うことは、動画を掲載しているお宿はそれだけ写真などと現実に差が無いと言う自信があると考えられます。

改装やリニューアルの年月も大事です。お宿は必ずそのタイミングで写真を撮り直しますので、その年月を確認する事で写真の鮮度を確認出来ます。最近リニューアルをしていれば、ページ上に必ず記載がありますし、もし無いのなら問い合わせて聞いてみても良いです。また、「Wayback Machine(ウェイバック マシン)」のように過去のページの状態を見ることが出来るWebサービスもあります。該当ホテル旅館のホームページのURLを貼り付けると指定した過去の日付時点でのページを見ることが出来る面白いサービスです。「あ!この画像10年前から使っているな!」なんて事が分かってしまいますが、かなりディープな方法ですので、先の3つのポイントだけで十分かと思います。

まとめ

今回は宿選びのポイントを4つに絞って、どんな風に見るのが良いかコツをお伝えしましたが、このポイントさえ押さえておけば、お客様をだまそうと言う悪質な意図がなければ宿選びで失敗することは無いでしょう。何より一番大事なのは、あなたとお宿のミスマッチをなくす事です。今回のコツを押さえて、あなたに合ったお宿選びをしてみてください。

最も安く飛行機に乗れる【ダイナミックパッケージ】安い理由とお得な利用方法を解説

航空券とホテル旅館の宿泊予約を同時に行なうことが出来る「ダイナミックパッケージ」が人気です。OTAの楽天トラベルは、2019年のダイナミックパッケージの年間利用者数が1千万人を越えると公表しており、その他、じゃらんnetや航空会社が独自に販売している件数も合わせると、かなり多くの方に利用されている事が分かります。

ダイナミックパッケージの魅力は、今まで旅行会社が作っていた長期滞在や周遊型のツアーには無い「旅の自由度」の高さと、その圧倒的な「安さ」にあります。また現在は、日付や利用人数、地域などの条件を入力するだけで、数多いフライトやホテル旅館の中から利用可能な選択肢が表示され、その中から人気順や価格順にソートを行いながら、自分の条件に合った旅の工程を驚くほど簡単に予約する事が可能になっています。しかも、トランジット(航空機の乗り換え)の自動検索や、現地でのレンタカーの予約も同時に出来てしまいます。

ただ「安すぎるのは何だか怖い。」「サービス内容が悪いんじゃないの?」と感じられている方も少なくないそうです。そこで今回は、ダイナミックパッケージの安さの理由とおすすめの利用方法をお伝えします。

その安さの理由を徹底解説

ダイナミックパッケージの安さの理由は、大きく分けて下記の3つありますので順番にご説明します。

航空券の種類が違うから安い

航空券にはさまざまな種類がありますが、ダイナミックパッケージの安さの理由を説明する為に知っていただきたい種類は「PEX運賃航空券」と「IT運賃航空券」の2種類です。前者はいわゆる航空会社の正規料金で、後者はツアー用(旅行社用)に特別に安くした航空券です。ダイナミックパッケージは、後者の「IT運賃航空券」を楽天トラベルやじゃらんnetが予約システムに組み込んで、個々の条件に合わせてばら売り出来るようにしているのです。以前は「団体包括旅行運賃」として、その名の通り団体用に設定された安価な料金体系でしたが、旅行の個人化に伴い、1994(平成6)年からは1名からでも適応出来るようにルールが変更されました。

以上のように、ダイナミックパッケージはツアー専用の団体料金を個人に適応出来る仕組みを使って料金を下げているのです。決してサービスレベルなどを落としている訳ではないのです。

キャンセル率が低いから安い

2つ目は、予約キャンセルにまつわる理由です。航空券もホテル旅館も予約商売ですのでキャンセルが付き物です。ですので、一般的には航空会社も宿泊施設も収益を安定させる為、自社のキャンセル率を予め把握し、それを見越した料金設定(キャンセル料含む)を行なっています。特に航空会社はその傾向が強いです。

しかし、ダイナミックパッケージのように航空券と宿、そしてレンタカーなど、複数のサービスを一括で予約したケースの場合は、実はキャンセル率が低くなる傾向があります。今回の主題ではありませんのでその理由は割愛しますが、何れにしてもパッケージ予約はキャンセル率が低いのです。キャンセルリスクが少ない分、料金を安く抑えられる。これが2つ目の理由です。

「空&宿」の販売戦略の相乗効果で安い

ここから説明させていただく内容が、ダイナミックパッケージが安価である最大の理由であり、ダイナミックパッケージの肝ですので、しっかり読んで理解していただければと思います。

航空会社とホテル旅館は両者とも、その営業形態上、同一の3つの大きな問題を抱えています。ダイナミックパッケージは、その両者共通の問題点を補い合いながら、メリットを出して行ける仕組みになっているのです。その副産物として、利用者には信じ難いような安価な利用料金が提供されるのです。ダイナミックパッケージは、航空会社、宿泊施設、そして利用者にもメリットのある三方良しの仕組みなのです。

繁閑の波が大きい

両者共に、月・曜日・時間帯など、需要に大きな波が存在します。売上が不安定なのにも関わらず、機体や建屋の維持管理費、人件費などの固定費は待った無しです。その為、それぞれ様々な戦略を行い需要喚起を行っていますが、この繁閑の波を完全に無くす事は至難の業であり、航空会社・宿泊施設にとって繁閑の波の大きさは永遠の課題なのです。需要期に合わせて在庫数を増やせない

需要期に合わせて在庫数を増やせない

繁閑の波とセットの大問題があります。それは、需要期に合わせて在庫を増やすことがで出来ないのです。「年末年始はお客様が増えるから、10機購入しよう。」「5月の連休は忙しいから、部屋を20室増やそう。」そんな事は出来ないのです。1年の中のピークの数日に合わせて機体や部屋を増やしてしまったら、維持費が膨れ上がり、借入の返済が出来ず、あっという間に会社は潰れてしまいます。製造業のように、ピークに合わせて暇な時期に在庫を増産しておく。小売店のように需要期に合わせて在庫を大量に仕入れる。そのように、需要のピーク時に売上を突き上げる事が出来ない営業形態なのです。

むやみに値引きを行いたくない

安易な値引きはブランド価値を下げてしまいますので、賢明な戦略ではありません。「あそこは、いつもあの程度の料金だな。」お客様からそのようなイメージを持たれてしまったら、需要期に高く販売しようとしても「忙しい時期だから、お客の足元を見ているな。」と信頼を欠いてしまいます。その結果、需要期の売上も落としてしまい、当然閑散期でも購入していただけないと言う自体を招きかねません。航空会社もホテル旅館も暇だからと言って、ブランド価値を下げてしまうような安易な値引戦略は出来ないのです。

この3つの問題点へのソリューションがダイナミックパッケージ

上記の1.2.の問題解決の為に、レベニューマネジメントと言う販売管理方法があります。簡単に言えば、需要と販売タイミングに合わせて価格をコントロールする販売手法です。しかし、この方法に基づいて値下げを行なった場合でも、3.のブランド価値の低下には繋がってしまいます。しかし、ダイナミックパッケージで、複数のサービスがセットになった場合は、どのサービスがいくらなのかお客様には全く分かりにくいのです。つまり、ブランド価値を下げる事無く値引戦略を行なえるのです。その為、航空会社も宿泊施設も需要の波に合わせて、思い切った価格設定が出来るのです。これは値引きだけではなく、値上げでも同じ事です。

ダイナミックパッケージとは、航空会社のさまざまな路線の運行状況と、無数のホテル旅館の客室と宿泊プランの掛け合わせがインターネット上で同時多発的に行なわれていると言う事なのです。従って、それぞれ単独の購入では絶対にあり得ない価格帯が、サービス低下も提供側のリスクも少なく実現出来ているのです。

おすすめのダイナミックパッケージはコレだ

温泉旅館支配人の筆者がおすすめするダイナミックパッケージは、楽天トラベルが販売している「ANA楽パック」と「JAL楽パック」です。価格もさることながら、楽天ポイントが貯まる(もちろん使用も可)ことも大きな魅力です。安いとは言え、旅行はそれなりに額になりますので、その機会にはしっかりポイントを貯めたいところです。しかも、楽天トラベルでは管理画面でパッケージプランの料金設定を行なう際に「正規料金の20%OFFが売れ筋です。」と、さりげなく20%OFFの推奨メッセージが表示されますので、お宿側での割引きに少なからず影響があるのも事実です。初めての方用のHow toページが充実しているのも見逃せません。

次は、じゃらんのダイナミックパッケージですが、業界人の筆者の見解としては、楽天トラベルの方が1.5歩リードだと思います。

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本当に安いか検証したら分かった驚きの安さ

ここでは、実際に販売されている「航空券のみ」の価格と「ダイナミックパッケージ(航空券+宿)」の料金を、全く同じ便で比べてみます。

ANAの場合

東京-福岡間、往路「ANA253便」、復路「ANA272便」、共に普通席で検証します。上記の通り、飛行機運賃は57,400円でした。

では、全く同条件の航路で楽天トラベルの『ANA楽パック』を使い航空券+ホテルのセットで検索をして見たところ、、、

ホテルの宿泊付きで、19,900円です。表示画面では、GoToトラベルの割引が入っていますので東京福岡間がホテルが付いて12,935円です。割引が無くとも正規料金の半額以下、ホテル代が入っているのに37,500円も安く飛行機のチケットが変えてしまいます。(※ホテルはサイト内の当日最安ホテルを選択しました)

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では、次は先程のおすすめのもう一つ、じゃらんnetの『ANAじゃらんパック』で全く同条件で調べてみました。

じゃらんパックの場合は、楽天トラベルよりやや高いですが、それでも正規料金の半額以下24,300円でした。もちろん宿泊付きです。(※ホテルはサイト内の当日最安ホテルを選択しました)

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今回の検証では、ANAが設定している「バリュー3C」と言う搭乗日3日前までの予約で割引になると言う運賃形態でしたが、航空券単体での購入の場合、予約日が早ければ早いほど安くなります。そこで、その他の料金形態でも検証を行った結果、予約日が搭乗日の28日前までの割引運賃「ANA SUPER VALUE 28」までであれば、ほぼすべてのケースで宿付きのダイナミックパッケージの方が安価で予約出来る事が分かりました。

搭乗日45~55日前の「ANA SUPER VALUE 45(又は55)」になると、飛行機代のみの方が高くなってきますが、宿もセットで予約したい場合はまだまだダイナミックパッケージが有利です。しかし、75日前までの「ANA SUPER VALUE 75」になると航空運賃がグッと下がり宿泊が不要な場合は単独予約の方がお得になりました。

JALの場合

ANAと同様に、JALの場合も検証してみます。

東京-福岡間、往路「JAL317便」、復路「JAL332便」、共に普通席で検索するとと、飛行機運賃は57,400円でした。

それを楽天トラベルの『JAL楽パック』でホテル付で予約すると、クーポン割引前で23,100円。正規料金半額以下です。(※ホテルはサイト内の当日最安ホテルを選択しました)

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じゃらんnetの『JALじゃらんパック』の場合は、34,700円でした。半額以下とはいきませんが、ホテルがプラスになって2万円以上安いです。(※ホテルはサイト内の当日最安ホテルを選択しました)

JALもANA同様に予約が搭乗日より早ければ早い程、運賃が安くなる「先得割引・スーパー先得・ウルトラ先得」と言う設定があり、今回の検証では「特便割引3-タイプC」と言う3日前までの予約で割引になる運賃で検証しましたが、ANAと同じく搭乗日の28日前の予約なら、圧倒的にダイナミックパッケージがお得です。

また、搭乗日45~55日前の予約では航空券のみなら、JALの直接が少し安くなり、75日前だと逆転するのはANAとほぼ同じ傾向でした。

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検証まとめ

  1. 搭乗日の28日前の予約:ダイナミックパッケージの圧勝
  2. 搭乗日45日~55日前の予約:宿泊も必要ならダイナミックパッケージの勝利
  3. 搭乗日75日前の予約:宿泊不要なら航空券単体購入の勝利

75日前で宿泊が必要な場合は、宿と航空券を別々に手配するのが価格的にはベターですが、複数のサイトで予約するのは正直面倒ですし、レンタカーなどもセットで予約出来るダイナミックパッケージの利便性の方が価格の差うよりメリットが大きいと思い、筆者はどんなケースでもダイナミックパッケージで予約をしています。またビジネス利用の場合、1カ月以内に決まるスケジュールも少なくありませんので、ダイナミックパッケージ一択で良いでしょう。

また、ダイナミックパッケージを販売している旅行会社は複数ありますが、先程からおすすめしている「楽天トラベル」と「じゃらんnet」がぶっちりで良いです。一見、ANAやJALが独自で行っている方が良さそうに感じますが、宿泊施設数(選択肢)が少ない事や、ポイントの貯まり易さ使い易さ、予約のし易さなど、どこをとっても「楽天トラベル」か「じゃらんnet」が上回っています。

>参考記事:国内旅行は「楽天トラベル」と「じゃらんnet」だけチェックすればOK!その理由を徹底解説

裏技

また、裏技ですが帰省などで宿が不要の場合でもダイナミックパッケージで予約をして、ホテルに「実際は泊まりませんが、予約はそのままにしておいてください。ただ、お部屋は販売してもらって大丈夫です。」と事前に伝え、了承を得ていれば、あなたは航空券を安く買えますし、宿泊施設は宿泊を伴わずに料金がいただけ、更にその部屋を別の方に販売する事まで出来るので、皆が良い結果を得る事が出来てしまいます。ただ、事前にお宿の了承を得る事が大前提です。

繁閑の波を聞いてお得な日を狙って予約しよう!

ダイナミックパッケージの安い理由とサービス内容が何も劣らないと言う事をお分かりいただけたかと思いますが、航空会社やホテル旅館の繁閑の波と販売価格に非常に強い因果関係がある事もご理解いただけたと思います。つまり、いかに「両者共に暇な時期」を把握出来るのかがお得予約の重要なポイントになります。しかし、それぞれの地域や営業形態によって状況が異なりますので、繁閑の波を掴むことは意外と難しいのです。しかし、簡単な方法が1つだけあります。

それは、気になる方面に航路を持っている航空会社や、お目当てのお宿に直接電話をして「そちらを利用したいと考えているのですが、どの時期が空いていますか?」と率直に聞くことです。極めてアナログな方法ですし、電話でそんな事を聞くのは恥ずかしいし、相手に嫌がられないかと心配する方もいらっしゃるかと思います。でも、大丈夫です。皆さんは利用を検討しているのです、必ず親切に教えていただけるので安心してください。お宿と航空会社、いずれかが暇だというだけで料金はグッと変わってきます。両者共に暇な時期であれば大大大チャンスです。

「安くて品質も変わらない。」国内旅行の形を変えるダイナミックパッケージ。皆さんも是非利用してみてください。

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【楽天トラベルスーパーDEAL】驚異のポイント40%還元!を徹底攻略

【楽天トラベル】楽天スーパーDEAL画面

【楽天トラベル】の楽天スーパーDEAL、皆さんは利用された事はありますでしょうか?最近は、楽天トラベルも積極的に告知を行なっているので、まだ使った事はないけど、名前だけは知っていると言う方も多いかと思います。

【楽天トラベル】楽天スーパーDEALは「ポイント30%~還元」と非常に魅力的なキャッチコピーとなっていますが、あまりのポイント還元率の高さに、逆に怪しさを感じている方も少なくないと思います。温泉旅館支配人の筆者も「アレって、ぶっちゃけどうなの?」と言う質問を大変多くいただきます。そこで今回は、さまざまな形態のホテル旅館が、実際に「楽天スーパーDEALで販売されている料金」と同一条件の「通常プランの料金」を調査し、旅館の中の人としての見解と合わせて楽天スーパーDEALについてご紹介します。

>【楽天トラベル】楽天スーパーDEALはこちら

【楽天トラベル】楽天スーパーDEALとは?

楽天スーパーDEALは、楽天グループが毎日開催しているイベントで、楽天会員であれば誰でも参加可能です。楽天市場はもちろん、楽天ブランドアベニュー、楽天ブックスなど、さまざまな楽天サービスで、通常の何十倍のポイント獲得が可能です。【楽天トラベル】スーパーDEALは、その中のトラベル(旅行)版です。

楽天トラベルの場合は、基本は30%還元ですが、中には40%と言うさらに高いポイントバックを行なっているホテル旅館も存在します。しかも、このスーパーDEALはポイントの高還元率と合わせて、見逃すことが出来ない重要なポイントが3つあります。

  1. 付与ポイントの有効期限が1年間
  2. 割引クーポンと併用可能(【重要】今なら「GoToトラベルクーポン」の併用で、もれなく35%割引!)
  3. ポイント10倍保証「得旅キャンペーン」と併用可能

楽天ユーザーにとって有効期限が1年と言うは、ほぼ無期限と同意語だと思います。そして、何より強力なのは、3.の得旅キャンペーンと併用が可能と言う点です。得旅キャンペーンの詳細は後述しますが、併用することで最大55%のポイントバックが可能になります。割引クーポンも併用可能ですが、割引後の金額がポイントの換算基準金額になる事を頭に入れておきましょう。

しかも、今なら「GoToトラベルクーポン」を使用する事で、高いポイント還元率だけでなく、もれなく35%割引となりますので、このクーポンを使わない手はありません。また、上記の2.で紹介した各種クーポンともダブルで併用可能できてしまうと言う、にわかには信じられないお得な状況になっています。

>参考記事:楽天トラベル【得旅キャンペーン】はエントリー必須。その魅力を徹底解説 2021年版

【楽天トラベル】楽天スーパーDEALは、本当にお得なのか大調査

付与されるポイントは宿泊された宿泊施設の負担となる為、以前は、ホテル旅館がポイントバック分を予め価格に転化し、実際は全くお得ではないと言うケースも存在しました。しかし近年は、楽天がコンプライアンスの厳守を徹底してきているので、そのような悪質なケースはほとんど見受けられません。

そこで今回は、実際にホテル旅館が販売している通常プラン(元プラン)と、楽天スーパーDEALで販売しているプランを、同一宿泊施設で、日付、利用人数、客室タイプと一致させ、実状を調べて見ました。

ケースA(ビジネスホテル)

※このケースでは、販売価格自体に若干の差が存在しましたが、スーパーDEALの方が約3,200ポイントも多くポイント還元されています。

ケースB(高級旅館/カップル)

※販売価格も含めすべて同じ条件ですが、高単価&還元率40%で約24,000ポイントも差がついています。

ケースC(温泉旅館/ファミリー)

※ファミリー利用でも結果は同じです。30%のポイント還元率ですので、同一条件で4,000ポイント以上お得に宿泊可能です。

>【楽天トラベル】楽天スーパーDEALはこちら

本当にポイントが付与されるかを確認

にわかには信じられないようなポイント還元率の楽天トラベルスーパーDEALですので、実際にスーパーディールを使用して宿泊した内容を筆者のマイページで確認していただきます。

上記は筆者が楽天スーパーDEALプランを利用して宿泊した利用履歴です。プラン名に【楽天スーパーDEAL】と記載されている事と、ポイント付与額が「3120ポイント」となっており、クーポン利用後の10,400円の30%になっている事が確認出来ます。

そして、こちらが筆者の楽天ポイントクラブのポイント実績画面です。楽天トラベルの同じホテル名での利用で3,120ポイントが間違い付与されています。

スーパーDEALの利用で付与されるポイントは、チェックアウト翌日から10日以内を目安に付与されます。個人情報の為、ぼかしを入れさせていただいていますが、上記の筆者の例ではチェックアウト日から9日目にポイントが付与されています。

結論・まとめ

今回の調査結果で【楽天トラベル】楽天スーパーDEALは、正にスーパーお得なイベントである事が確認出来ました。皆さんも是非、楽天スーパーDEALでお得に宿泊予約をしてみてください。

>【楽天トラベル】楽天スーパーDEALはこちら

唯一のデメリット

筆者の経営する旅館もそうですが、ポイント還元の原資を宿が負担する形態となっている為、それぞれのお宿の状況や販売戦略によってスーパーDEALに参加していない施設が多いと言うことが唯一のデメリットだと思います。しかし、全国のホテル旅館で合計2,232プランが販売されており、選択肢は決して少なくありません。( 2020年10月 現在)

出張利用でボーナス並みのポイント獲得

特に、出張やビジネス利用の場合は、獲得ポイントは領収書には載りませんので特におすすめです。少し足を伸ばしてでも、楽天スーパーDEALのプランがある宿を選ばれるのも良いと思います。筆者も実際にそうしていますが、スーパーDEALの獲得ポイントだけで年間数万ポイントを獲得していますので、もはや「おこずかい」のレベルではありません。

得旅キャンペーンとの併用が最強

また、得旅キャンペーンが開催されている場合は、そちらもエントリーし、さらなるポイントUPを目指してください。得旅キャンペーンは最大ポイント15倍ですので、もしDEALの40倍との併用でポイント55倍となれば、2名利用で1名分以上がポイントバックされる形です。

楽天市場のお買い物マラソンで買い回りをして、ポイント10倍を目指すより実現へのハードルはかなり低いと思います。※対象の宿泊施設が「得旅キャンペーン」に参画し、且つ「楽天スーパーDEAL」にも参加している事が条件となります。

参考記事:楽天トラベル【得旅キャンペーン】はエントリー必須。その魅力を徹底解説

>【楽天トラベル】得旅キャンペーンはこちら

忘れてはいけない観光商品の特性(その2)

私たちが扱う観光商品には、誘客や販売を行っていく上で絶対忘れてはいけない特性が2つあります。その1つが「想起と消費のタイムラグ」です。今回考察するもう1つの特性は、前記のタイムラグと対になる部分で、国内旅行者、インバウンドに関わらず効果的なプロモーションを行っていく上で、とても重要な特性ですので、改めてご確認してみましょう。

忘れてはいけない観光商品の特性(その1)

距離は価値、移動はコスト

観光商品の重要な特性、それは「消費地への長距離移動が発生すること。」です。物を購入する場合でも、その商品を販売している店舗へ足を運ぶ必要がありますが、通常はほとんどの商品の消費は自身の生活圏内で行われる為、購入をする為の移動距離はあまり長くはなりません。現在ではインターネットを使えば、どんなに遠くで販売されている商品も取り寄せることが出来ますので、多くの商品が自宅で購入(消費)出来るようになっています。

しかし、観光商品は「非日常」や「感動」を扱っている為、消費は自身の生活圏外で行われるかたちとなり、必然的に消費地は遠方となります。この「消費地までの距離(移動)」が観光商品を販売する上で重要なポイントになります。

例えば、自宅近くのスーパーでティッシュが300円で販売されており、20km離れた隣町のスーパーでは、全く同じティッシュが200円で売られていたとします。価格が安い隣町のスーパーへ行く方、近くのスーパーで購入する方と別れるかと思いますが、それはなぜでしょうか?全く同じ物を購入するのであれば、通常は誰でも安い方を選ぶはずです。しかし、そこに距離がある場合はどうでしょう。移動にかかる時間や交通費などと、価格の差を考え、どちらで購入するのが良いか検討されると思います。そこから分かるのは「距離は価値、移動はコスト」だということです。 隣町のスーパーの価格は、200円ではなく「200円+距離=〇〇円」。 近くのスーパーの価格は、300円ではなく「300円-距離=〇〇円」なのです。

観光商品は、その個人の主観や価値観に大きく左右される「距離」という相対的な価値に依存してしまっている事を十分意識し、この距離の壁をどう取り除くのかを戦略的に考えていかなければ来訪者の増加は見込めません。その心理的な壁(距離)を越える為には、地域の地理的な条件などにより、さまざまな案が考えられますが、共通して言えることは、距離のコストを上回る価値を提供することです。

ある有名観光地と無名観光地を比較した際に、お客様の満足度は無名観光地の方が高いのに、有名と無名に分かれてしまうのは、単純に首都圏からのアクセスの違いだけだったりすることも非常に多く見受けられます。現地までのアクセスのし易さという価値が、総合的な価値を大きく引き上げて、来訪者数や知名度にまで影響を与えているのです。逆に言えば、アクセスの悪さが価値を引き下げてしまっていると言えます。 ただ、観光地を移動することは不可能ですし、交通インフラの整備も一朝一夕に行う事は出来ませんので、その移動距離やアクセス状況も含めた価値を、観光地の基本価値として捉える事が必要です。

距離の壁を越える

地方の観光地がこの距離の壁を越える価値の与え方としては、大きく分けて下記の3つが考えられます。

  1. 独自性を強める
  2. 周囲と協力し広域での価値の創造
  3. 移動自体に価値を与える

いずれの考え方も有効ですが、今後の特に重要になってくる取り組みは2.です。 施設などが単独で個性を強めて価値を創造して行くこともとても重要ですが、他の地域にある同業態の施設との比較となってしまいがちです。しかし、さまざまな業態が連携し合い生み出した価値は多様性に富み、結果的に他とは比較の出来ない独自性を生み出すことが可能になります。

視野を広げることで、独自性と価値を創造する

近くの観光地や施設や体験イベントなどに興味をもっている観光客に「ほんの少しだけ足を伸ばせば、こんなに素晴らしい場所があるんだよ。」と言うことを伝えてあげる事も効果的です。すでに近くの観光地に興味を持ち、距離のハードルを越えてきている「来訪の見込性の高い方々」へ向けて情報を届けるのもプロモーション効果の拡大には欠かせない考え方です。マーケティング用語で言えば、関連商品をお客様に促すクロスセルです。「知っている観光地×知らなかった観光地」こんな小さな事でも、地域の新しい価値を創造することに繋がります。言い方は良くありませんが、地方にとっては近隣※の有名観光地を利用するくらいの気持ちも必要です。 観光庁も地域力の向上の為、日本版DMOの形成を呼びかけており、地域内での繋がり方が非常に重要になってきています。

※FIT(外国個人旅行者)が対象の場合は、各種交通機関を使用し1~2時間程度の移動距離は近隣と考えても良いでしょう。

忘れてはいけない観光商品の特性(その1)

忘れてはいけない観光商品の特性(その1)

商品の販売を検討する際には、顧客や市場、競合などさまざまな要素を総合的に検討しなければなりませんが、何をおいてもまずは「商品そのもの」について良く考え、認識を深めておかなければなりません。その商品がどんな特性を持っているのかを熟知していなければ、誰に売るべきなのか、どこに売るべきなのか、どう伝えたら良いのか等の販売戦略を立てることが出来ないからです。

私たちが扱う「観光」という商品にも特性があります。しかし、そこを十分に理解しないままプロモーションが行われ、効果が得られていない場合がよくありますが、戦略が無いまま行うプロモーションで結果が出ないのは当然です。各観光商品には、地域性や多様性などさまざまな特徴がありますが、すべてに共通する最も重要な忘れてはいけない特性が2つあります。今回はその1つについて考えてみたいと思います。

忘れてはいけない観光商品の特性(その2)

想起と消費のタイムラグ

想起とは「その商品を欲しいと思うタイミング」、消費とは「購入するタイミング」です。観光商品のもっとも大きな特性の一つは、想起と消費の間に非常に長いタイムラグがあるということです。これは誰もが知っているとても当たり前なことです。しかし、この特性があまり重要視されていないのもまた現実です。

「どこかに旅行に行きたいなぁ」と思った日と、実際に旅行に行く日は別です。事前予約を必要とする宿泊商品などでは、行きたいと感じたタイミングと、予約するタイミング、そして実際に宿泊する日はすべてバラバラで、いずれのタイミングにもタイムラグが生じます。このタイムラグは、販売(誘客)戦略を立てる上で極めて重要なポイントです。自地域にある観光地のパンフレットやホームページを作ってプロモーションし、その情報に触れて「あ、行ってみたいな。」と感じてもらったとしても、実際にそれを消費(来訪)する為には、一緒に行く家族や友人とのスケジュール調整、交通情報の確認や予算など、消費に至るまでに決めなければならないことも多く、即消費には至ることが出来ません。重要なのは、そのタイムラグの間にせっかく行きたいと思った感情を忘れてしまうことです。また、情報は上書きされる性質をもっていますので、現代のような日常的にさまざまな情報に触れる社会では、「行ってみたい。」という情報(感情)は、どんどん上書きをされてしまいます。

ドイツの心理学者のヘルマン・エミングハウスは、ヒトはどれだけ記憶したことが頭に残っているか、どれだけ忘れるかということを調べる、下記のような研究を行いました。

「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節(rit, pek, tas, …etc)を記憶し、その再生率を調べ、この曲線を導いた。結果は以下のようになった。 20分後には、節約率が58%であった。 1時間後には、節約率が44%であった。 1日後には、節約率が26%であった。 1週間後には、節約率が23%であった。 1ヶ月後には、節約率が21%であった。 この一番上のグラフは経過時間ごとの節約率を表している。節約率とは一度記憶した内容を再び完全に記憶し直すまでに必要な時間(または回数)をどれくらい節約できたかを表す割合である。式で表すと (節約率)=(節約された時間または回数)÷(最初に要した時間または回数) (節約された時間または回数)=(最初に要した時間または回数)-(覚え直すのに要した時間または回数)

出典:ウィキペディア 忘却曲線

この研究から分かることは、ヒトは記憶した直後から物忘れを始め、最初は一気に忘れ、次第にゆっくりと忘れるようになること。そして、継続的にその情報に触れることで、記憶の忘却を抑制できるということです。 観光商品を扱う際、この消費までの時間の長さによる「忘れられる特性」を意識したプロモーションを行わなければ、せっかくお金や労力をかけて行ったプロモーションが実を結ばない可能性が非常に高くなります。逆に言えば、消費をするタイミングで情報を与えることが出来れば、来訪の可能性は高まると言えます。

特性を踏まえた具体的なプロモーション方法

  1. 特定の人物に、繰り返し継続的に情報を発信し続ける
  2. 消費するタイミングに合わせてアプローチをする
  3. 消費をするまでの間、忘れないように情報をとっておいてもらう

1.の場合は、Cookie※の保有期間を長く設定し、リターゲティング広告など接触を繰り返す方法などが考えられますが、継続的にコストがかかる為、財源の少ない地方では現実的ではありません。また、2.のように、不特定多数の個人が消費をするタイミングを極めるのも、現実的ではありません。 ※Cookie(クッキー):Webブラウザ内に蓄積される来歴情報。

その為、地方観光地のプロモーションでは、3.をどう実現するのかがプロモーション効果の最大化、そして来訪者数増加のポイントになります。

忘れてはいけない観光商品の特性(その2)

デスティネーション(目的地)の認識を深めて、誘客方法を考える。

デスティネーション(destination)は、英語で目的地、行き先です。
JRグループが自治体や地元の観光事業者等が共同で実施する「デスティネーションキャンペーン」は、日本の観光従事者であれば知らない方はいない大型観光キャンペーンで、旅行目的地を商品とした代表的な「デスティネーション・マーケティング」です。今まではこの「目的地」という考え方が、観光を考える為のベースにあり、どの地域や観光地も目的地になる事を目指して誘客活動が行われてきました。しかし、これから観光をビジネスとして考える上で、この目的地の考え方を細分化し、考察を行い、自地域や自社がどこに該当するのか、目的地に対する認識を深めていかなければならない時が来ているのではないでしょうか。

欲求型目的地

従来の標準的なデスティネーション(目的地)の考え方は、これが多いのではないでしょうか。「行きたい、行ってみたい」という欲求に起因する目的地です。 このタイプの目的地を目指す場合は、より緻密なターゲティングを行い、ターゲットの絞込みが必要になります。観光や体験、食など目的はさまざまですが、主たる目的地として選ばれる為には、「行きたい」という衝動を掻き立てる圧倒的な魅力と差別化が必要になります。

これはインバウンドについてのあるアンケート調査ですが、「フルスピード訪日中国人旅行者街頭アンケート調査結果」では、60%以上の方が旅行中に立ち寄る飲食店を決めています。また、日本の何を魅力に感じて旅行に来たか、という質問に対しては30%以上の方が「食事」と答えているのも興味深いです。食事に興味があるのに、決めるのは現地に来てからなのです。旅行中の現在地に応じてお店を選ぶ傾向があると推測されます。また旅行中に飲食店を決める際に43%が「気になってフラッと入る」21%が「看板を見て入る」と答えています。期待はしているけれど、決めるのは成り行き。 このアンケート結果から、多くの場合、飲食店は「欲求型目的地」ではないことが分かります。 自地域や自社が誘客にあたり見込み客の「行きたい!」を引き出し、寄添っているのかを熟考しなければなりません。

出典:フルスピード訪日中国人旅行者街頭アンケート調査結果

必要型目的地

ホテルや旅館などの宿泊施設を利用する訪日外国人観光客が、「どうしてもそこに泊まらなければならない!」という欲求を持って宿泊されるケースはどの位あるのでしょう。多くの場合は、何か別の目的があり、その地域に存在する宿泊先として選ばれているのではないでしょうか。

日本では、ゆっくり過ごしたり、癒しを求めて温泉旅行に行くという文化がある為、「人気の温泉宿に泊まりたい」という、欲求の受け皿として目的地になる場合もありますが、インバウンド(訪日外国人旅行者)については、その文化はありません。観光庁の「訪日外国人消費動向」によれば、「温泉」は、訪日前に最も期待していたことのうち、「日本食を食べる」「ショッピング」「自然・景勝地観光」」に次いで、4番目と高い順位ですが、それは「温泉」であり、宿泊ではありません。単純に「泊まる」と言う商品(行為)が、何百キロ、何千キロ、遠く海の向こうからやってくる主たる目的には、なかなかなり難いのではないでしょうか。しかし、居住地と目的地が離れていればいるほど、宿泊抜きにして観光は成り立ちません。 欲求を高め、満たすことは難しいですが、必要性(泊まらなければならない)が極めて高い宿泊商品は「必要型目的地」と考えるのが良いでしょう。先に挙げた飲食店も、お腹が減るので何か食べなければならないと言う意味で「必要型目的地」と言えます。

段階的目的地

目的地とは出発地がなければ存在し得ません。出発地と目的地はセットで、そこには必ず移動が発生します。そして移動があると言うことは、通過地、経由地が存在するということです。または、観光客がすでに目的地にいる場合は、そこが出発地になり自宅が目的地となります。目的地とは絶対的な存在ではなく、「現在地・今いる場所」が大前提で、そこから移動をして向かう相対的な場所のことなのです。

さまざまな移動手段が存在しますが、移動は必ず時間と共に進行する為、その段階に応じて小さな目的地が生まれ続けていきます。「トイレに行きたいから、次のサービスエリアに寄ろう。」これが段階的目的地です。「成り行き型目的地」と言ってもいいかも知れません。ただ「成り行き」と言っても、漠然とした完全偶発的な成り行きは実は少ないものです。朝6時に朝食を食べたから正午近くにお腹が減るのです。 とてもシンプルな事ですが、出発地と目的地、経路が分かれば、時間を逆算するとこで意図的に段階的目的地を作りだす事が可能になります。

まとめ

目的地は、観光客の数、そしてサービスや価値を提供する側の数だけ存在します。また、1回の旅や旅行の中で1つではありませんし、出発前に決めるものだけでもありません。自身の地域や観光地、店舗やサービスが、目的地としてどんな役割を担い、観光客のニーズやウォンツとどう適合するのかを良く考えたプロモーションが求められています。
いずれのタイプの目的地としても「知ってもらうこと」は重要ですが、「知ってもらい方」「知ってもらうタイミング」も合わせて検討しなければ、今後の誘客は難しいものになるでしょう。

【賢い宿選び】ホテル旅館の「オフィシャルサイト」があてにならない3つの理由

ホテルや旅館の選び方を紹介しているブログなどで、必ずと言って良いほどオススメされているのが、そのお宿の「オフィシャルサイト」「自社ホームページ」を確認する事です。確かに、情報源としてそこでしか得られない情報や内容が掲載されているケースもあります。しかし、温泉旅館の支配人として、ホテル旅館の内情を熟知し、且つ販売する側として見た時に「オフィシャルサイト」は本当にお客様目線のサイトなのか疑問を持っています。と言うより、正直に言えば「あてにならない。」とさえ感じています。

今回は、その「あてにならない。」理由をお伝えさせてもらいます。

「知りたいこと」ではなく「伝えたいこと」が書かれている

1つ目の理由は、「宿泊客が知りたいこと」よりも「ホテル旅館が伝えたいこと」の方が圧倒的に多く書かれていると言う点です。これは人の心理として当然なのですが、泊まってもらいたい、予約してもらいたい、と言う一心で良い事が中心に書かれているのです。逆に言えば、予約に対して不利に働く内容や知られたく無いことは、あまり書かれていない事がほとんどです。当然と言えば当然の事なのですが、その情報だけを見て予約してしまったお客様はどうなるのでしょうか。答えは簡単ですね。

お宿のオフィシャルサイトや公式サイトは、「楽天トラベル」や「じゃらんnet」などのOTA(Online Travel Agent)と違い、決まったフォーマットも無く、掲載内容に縛りや制限も無い為、そのお宿が自由に表現内容を決める事が出来ます。その為、掲載内容がお宿に都合の良い方に大きく偏っている可能性があるのです。

企画も制作も作成会社に丸投げ

ホテル旅館がオフィシャルサイトを作成する際には、ほとんどの場合はホームページ作成会社に依頼し作成します。ここまではどの業界でも良くある話で、社内にwebデザインやWordpress等の扱いに慣れた方がいなければ、必然的にそうなります。しかし、ここからが問題です。

多くの宿泊施設では、ホームページの作成にあたり、自社の強みを掘り下げるわけでもなく、どんなお客様にどんな事を伝えなければならないのか等、Webサイトの要諦と言える部分を何も考えず、レイアウトやビジュアルに重点を置いてしまっているケースが圧倒的に多いのです。しかも、すべて制作会社に丸投げです。正に「仏作って魂入れず」なのです。

色々なホテル旅館のオフィシャルサイトを見比べて見てください。宿名を変えたらどこのお宿のページなのか分からない程、類似したページが沢山見つけられるはずです。地域を絞って見てみると、同じホームページ作成会社が作ったモノだと分かってしまう程、類似した公式サイトが多く存在している事に気づくことが出来ます。

見ているのは「お客様」ではなく「OTA」

先の2つからも分かる通り、お宿の公式サイトはお客様目線ではないのです。もちろん、そうではないお宿も沢山ありますが、ご紹介させていただいているようなケースの方が間違いなく多数派です。そして、次は商品・プランの話です。

「楽天トラベル」や「じゃらんnet」などのOTA(Online Travel Agent)から予約があった場合、お宿はシステム利用料として約10%の手数料をOTAに支払います。従って、お宿としては出来るだけ利益を上げる為に、OTAではなく手数料のかからないオフィシャルサイトから予約していただけるよう頑張ります。そこに問題が発生します。本来であれば、自社が提供するサービスの対価として料金が設定され、その中でお客様の満足度を最大化する努力を行なうべきですが、OTAで予約が入った場合の10%の手数料を前提としたサービス内容で商品を販売しているケースが散見しているのです。「どうせ10%とられるなら、その半分を特典(館内利用券など)にして公式ページで予約してもらおう。」「どうせ10%とられるなら、その分値引きして売ろう。」そんなイメージです。このような商品販売をされているホテル旅館は要注意です。

一見、お客様にとって良い内容にも見えますが、お客様を見てサービス内容や料金を決めていないと言うことは、実際に宿泊した際の料理などのサービス内容も、お客様を見ていないと考えられます。お宿の姿勢の話です。

まとめ

  • お宿の公式サイトに掲載されている8割以上の情報は、宿都合の情報
  • 制作は丸投げで 「仏作って魂入れず」
  • お客様の満足度より利益重視の商品展開

今回は「賢い宿選び」として、お宿の「オフィシャルサイト」「自社ホームページ」の内情をお伝えさせていただきました。しかし、決してすべてのホテル旅館がそうではありません。大切なのは、情報を判断するリテラシーです。この記事の内容を頭の片隅に置いてお宿のホームページを見てみてください。きっと、今までと違った視点でお宿選びが出来るようになるはずです。

【失敗しない宿選び】国内予約は「楽天トラベル」と「じゃらんnet」だけチェックすればOK。