つれづれコラム

【旅館の利用法】入れ墨・タトゥーと温泉入浴の微妙な関係

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温泉旅館をはじめとする日本の多くの入浴施設は、入れ墨やタトゥーを入れられている方の入浴を拒否しています。しかし、昨今は外国人旅行者(FIT)の増加やファッション目的に入れ墨を入れられている方も増え、時代の流れと入浴施設の対応にギャップが生じて来ています。

そもそも論として、入浴施設は何を根拠に入れ墨を排除してきたでしょうか。今回は、その理由と今後の入れ墨と温泉入浴について考えてみたいと思います。

何故入れ墨があると入浴出来ないのか

皆さんもすでにお分かりかと思いますが、日本人の多くが「入れ墨=暴力団・ヤクザ」のように、入れ墨から反社会勢力をイメージされ、浴場で入れ墨を入れられた方に出会うと恐怖を感じてしまう事が、入浴施設が入れ墨の入った方をお断りする一番の原因です。筆者の経営する温泉旅館でも稀にお客様から「お風呂に入れ墨の入った人がいるので何とかしてください。」と言う声をいただきますが、正直にお伝えすれば、スタッフもお客様と同じく入れ墨に対して恐怖を持っていますので、その方に「ご遠慮ください」とお声がけする事が出来ない場合も少なくありません。

大きなお風呂や温泉は、のんびりゆっくり寛ぐ所ですが、入れ墨は「恐怖」という形で、それを妨げてしまう要因になってしまう為、多くの入浴施設は入れ墨を排除するような営業形態をとっているのが現実です。何故、日本人がそのようなイメージを持つようになったのかは諸説あるかと思いますが、日本人の多くが「入れ墨=反社会勢力=怖い」と言う認識を持っていることは事実です。

ここに大きな問題があります。現在はファッションや文化、宗教上の理由などにより入れ墨やタトゥーを入れられている方も多くいらっしゃいます。しかも、入れられている方の大多数は反社会勢力ではなく、一般の方であり、周囲の皆さんに恐怖を与えようと言うような意図は全く無いと言う事です。

昨今の入浴事情

近年は、多くの外国人の方が日本観光に訪れるようになり入れ墨が身近になって来ていることや、スポーツ選手や芸能人など、社会的影響力のある方がタトゥーをファッションとして入れたりしており、入れ墨への認識もだいぶ変わりつつあります。それに合わせて「入れ墨=怖い」と言うイメージも少しずつ薄まってきてはいますが、未だに否定的な印象を持たれている方のほうが大多数であることも現実です。

温泉旅館や入浴施設もその社会的全体の認識の変化は感じとっていますし、近年増加している外国人旅行客を取り込んで行く為には、規制の緩和が必要な事は十分理解しています。しかし、ぞれぞれの方がどんな目的で入れ墨を入れられているかを確認する事は難しく、また「恐怖」と言う視点で見れば、デザインや柄、色などによる視覚的な違いによっても受ける印象は異なってきます。入浴施設はそのような個々が受ける印象まで把握することも、線引きすることも出来ない為、すべてNGという体制をとらざるをえないのです。

それでも入浴した場合はどうすれば良いのか

入れ墨問題は入浴施設の対応うんぬんではなく、周りの方が受ける「印象」という極めて抽象的な部分に大きな原因がある為、「こうだ!」と言う正解を見つけ出すことが難しいのです。国も外国人旅行者の満足度向上に向けて、入浴施設に規制の緩和をするよう動いていますが、先の通り問題は入浴施設ではなく、日本人が持つ社会的イメージにありますので解決にはまだ少し時間がかかるでしょう。しかし、その国民的イメージの転換と入浴施設の対応の変化のスピードは、確実に加速してきていることも事実で、筆者の感覚では2025年~2030年には、状況はかなり変わっていると思います。

では、それまでの間、入れ墨を入れられた方が意図せず周りの方に恐怖を与えることなく、温泉を楽しむ為にはどうしらたら良いのでしょう。今回は2つの方法をご紹介します。

貸切風呂・家族風呂を利用する

現在は、一定の時間を貸し切ることが出来る「貸切風呂」や「家族風呂」などのプライベート温泉を用意している施設も多く存在します。温泉旅館はもちろんですが、日帰入浴施設でも貸切風呂を用意しているところも少なくありません。そこを使用すれば、他の方と出会うこともありませんので、入れ墨を入れていても周りに気兼ねすることなく温泉を楽しめます。プライベート空間と言う意味では、露天風呂付客室を予約するのもよいでしょう。

入浴着やスキンカバーシートを使用する

傷や手術痕などを隠す為の「入浴着」や「スキンカバーシート」を使用するのもおすすめです。大きい範囲であれば入浴着、小さい範囲であればシートで良いでしょう。

また、スキンカバーシートは問題ないかと思いますが、稀に入浴着の着用を嫌う入浴施設もありますので、入浴着を希望される場合は事前に確認しておくと良いです。

スキンカバーシートもさまざまですが、上記の商品が使用感が良いとの声を多く耳にします。

最近は入浴着での入浴を許可している入浴施設も増えてきています。

まとめ

入れ墨と温泉入浴の関係は、日本人が入れ墨に持つイメージに依存しており、その問題の根深さから、現在でも過半数の入浴施設が入れ墨を入れられた方の入浴を制限しています。しかし、そのイメージも確実に変わりつつあり、今後はさらに温泉を楽しみやすい環境となってくるでしょう。

先に上げた方法も良いとは思いますが、「隠す」と言う行為を繰り返していてもこの問題の根本的な解決にはならないのです。より多くの日本人が持つ「入れ墨=怖い」と言うイメージを払拭して行く為には、入浴施設も制限を撤廃し、よりオープンな場を提供することで、日本人に入れ墨やタトゥーに慣れてもらう必要があるのではないでしょうか。実際に入れ墨やタトゥーを見ていただいて「な~んだ、全然怖くなんてないんだね。タトゥーを入れていても全然普通の人なんだな。」そんな風に思ってもらうことがとても重要なのです。

怖いと言うイメージを薄めていく姿勢こそ、国内外のより多くの方に日本が持つ天然資源である温泉を楽しんでいただく為の最短ルートなのではないかと考え、筆者の経営する温泉旅館では入れ墨やタトゥーの入浴制限は行なっていません。また、そのような入浴施設は確実に増えてきています。

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